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223.嘘つき

「ん〜〜。あと1時間。」

「だな。俺たち、この合宿、よく頑張ったよな。」

「まーねー。それにしてもさ、鞄の中もうパンパンでプリント入んないよ。あ、するめ食べる?」

「何でスルメなんか持ってんだよ。」

「朝、先生に貰った。屋上で警備するって言ったらくれた。」

私はスルメを割き西田くんに渡した。私達がスルメを割きそれをしがんでいると、馬鹿皇子御一行がガヤガヤとやってきた。紫色のドレスを着た南条寺さんの隣には、退魔部隊の隊服に豪華な飾りがついている特別な隊服を着た馬鹿皇子がいる。

 くそ!馬鹿皇子は何を着ても似合うな!華やかなドレスを着たご令嬢に囲まれた馬鹿皇子と、教室で西田くんとスルメをしがんでる私。・・何もかも違いすぎる。そんな事を考えていたら馬鹿皇子がこちらを見てウインクをした。その瞬間女子生徒の悲鳴が上がった。・・・ああ、私に向けてではないんだ。って何残念に思ってんのよ。私は又スルメを割くと口に放り込んだ。


その時、

「チャリコさーん。」

西園寺さんが水色の爽やかなドレスを着てこちらにやって来た。

「お勉強お疲れ様です。・・ん?お2人の持ってるそれは?」

「スルメです。イカを干したもです。よかったら食べてみます?」

「いいんですか?」

私はスルメを割くと西園寺さんの口に入れた。

「硬いですわね。・・あー、口の中で旨味が広がりますわ〜。」

スルメを食べて喜んでいる西園寺さんにクラス全員が釘付けとなった。それはそうだ。美しいドレスを着た美しい西園寺さんが喜んでスルメを食べてはしゃいでいるのだ。

 その時、馬鹿皇子が立ち上がってこちらにやって来た。後ろから南条寺さんや、女子生徒をゾロゾロと連れている。さらにクラス全員がザワザワし始めた。

「西園寺さん、何を食べているのかい?」

「するめという旨味の塊ですわ。」

「へぇー。スルメ。・・初めて見た。私も食べてみたいな。いただいても?」

・・はあ?朝食べただろ?しかも口に合わないって言ってただろ。私はそんな事、言えるはずもなく、残ったスルメを馬鹿皇子に渡した。

「桜華様、このような得体の知れないものを口にしない方がいいですわ!」

と南条寺さんが言うと、他の女子生徒も食べるなと騒ぎ出した。すると、

「桜華様が召し上がらないのなら私がいただきますわ。」

と西園寺さんが手を出すと、

「すまないが、食べ方がわからない。教えてくれないか?」

と言って私に尋ねた。はぁ。めんどくさ。そんな事は言えるはずもなく、私はスルメを割いて馬鹿皇子に渡した。その時馬鹿皇子は私の手に触れてニコッと笑った。そしてスルメを口にいれると、

「西園寺さんの言う通り、とても美味しいですね。ありがとう。」

と言って私に手を差し出した。

「は?」

ポカンとすると馬鹿皇子は私の手を取って

「君のお陰で素晴らしい物に出会うことができたよ。」

「・・どういたしまして。」

そう言って握手をしながら、心の中では嘘つき!とツッコミを入れていた。


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