222.握手
「あ、薬塗るの忘れてた。」
「大丈夫です。自分でちゃちゃっとやっときますから。」
「このはは、本当にちゃちゃっと済ませそうだから、俺がやる。」
馬鹿皇子は私を抱きしめていた手を離し立ち上がると、籠の中から薬が入っている籠を出した。
「俺はこのはを見てると心配になる。」
「怪我ばかりしてるから?」
「それもあるけど、なんかさ、このはは、人のことは大事にするのに、自分の事は大事にしてないみたいな。人を助ける為なら自分は傷付いていいって思ってるように見える。」
「そんな事ないです。」
「このははそう思っているかもしれないけど、俺からはそう見えるの。まぁ、その分、俺がこのはを大事にするけどさ。」
「ありがとうございます。でも十分大事にしてもらつてますよ。だって、仕事の条件、お給料も、待遇も。家庭教師まで雇ってくれる雇い主なんて中々いませんよ。」
そんな話をしながらも馬鹿皇子は手際良く傷の処置をしていく。
「そういうことじゃなくてさ。はい。膝立てて。」
「うん。」
私は言われた通りに膝を立てると馬鹿皇子はスカートを捲った。馬鹿皇子は
「さっきの話だけど、俺は雇い主としてはもちろん、1人の男としてこのはを大事にするから。」
「え?あー。うん・・・。」
馬鹿皇子は包帯とガーゼを外して消毒をし、薬を塗った。そしてガーゼを当て、テープで固定した。包帯を巻きながら、
「俺の警護、頑張りすぎないでほしい。・・俺のせいでこのはの体が傷つくのは辛いんだ。俺、このはにこんなことしかしてあげられないから。これ以上の怪我をされると、俺何もしてあげられない。だから頼む、絶対に無理をしないでくれ。」
「だったら、護衛になんか指名しないでくださいよ。」
「それはそうなんだけど。・・・ごめん。」
「別に謝らないでくださいよ。魔物退治なんて師匠との修行よりよっぽど楽ちんです。桜華様、私を誰だと思ってるんですか?大魔導師このは様ですよ。」
「うん。頼もしいよ。このは様、よろしくお願いします。」
そう言って馬鹿皇子は手を差し出した。私はその手を取りしっかり握手をした。




