14.お土産
「ちょっとお待ちください。」
と言って奥から昼間第二皇子から水をかけられたメイドが小走りでやってきた。そして
「このは様、昼間はありがとうございました。」
と言ってメイドは(昼間私が彼女に渡した)手ぬぐいと、紙袋を私に差し出した。
「ありがとうございます。」
と私はそれらを受け取ると、メイドが
「手ぬぐいは洗ってアイロンをかけてます。そしてこれは桜華様から、このはさんマカロンが大好物なんでしょ。焼きたての出来立てですから袋の口を開けたまま持ち帰って下さいね。」
と言った。私が馬鹿皇子の方を見たら馬鹿皇子はなんとも言えない表情でこちらを見てから私に背中を向けた。私は馬鹿皇子の元に音を立てないように走って近寄り、思いっきり足元を蹴った。馬鹿皇子はバランスを崩して尻餅をつき振り返った。
「何すんだよ!」
「これでおあいこだ!ばーか!・・・それと、マカロンはありがたくいただく。」
「ああ、食ってぶくぶく太って豚になれ!」
「人間が豚になるわけねーだろ。ばーか。」
「あぁ、馬鹿だよ。だから俺、このはの母さんの草履を壊して・・・。ごめん。」
「ごめんで済んだら警察はいらねーんだよ。この草履、大事にしてたのにすげームカつく。ばーか。」
「手も怪我させた。ごめん。」
「掌擦り剥くと地味に痛いんだよ。だからごめんで済まねーんだよ。ばかばーか。草履の事、掌の怪我のこと絶対許さないからな!あームカつく!・・・はぁ。」
私は馬鹿皇子に対する鬱憤をすべて吐き出し、大きなため息をつくと彼の前に正座をして、
「桜華様に対して、無礼な言動をとり申し訳ありませんでした。マカロンはありがたく頂戴します。」
と言って土下座をした。そして
「それでは失礼致します。」
と言って立ち上がった。馬鹿皇子はポカンとしてこちらを見ていた。
私は父の元に戻ると、皇帝陛下が、
「桜華が本当に申し訳なかった。今日のことは気にしないで、修行を頑張ってほしい。そして修行が終わったら又遊びにおいで。」
と言って頭を撫でてくれた。私は、2度と来るか!!とツッコミを入れたい気持ちをぐっと堪えて、
「ありがたいお話ですが、ご遠慮します。私は第二皇子に無礼な行いをしました。そのような私が再びここに遊びに来る資格はございません。本日は申し訳ありませんでした。」
と頭をさげると、皇帝陛下は
「このはさんが謝ることは何もないよ。今日は色々ありがとう。」
と言った。すると、清華様が、
「桜華は子供でさ。女の子に対する接し方がわかっていないんだ。本当にごめんね。」
と謝った。私と父は見送りに来てくださった皆さんにお礼を言って、邸宅を出て、馬車に乗り込んだ。
私は父に、
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
と謝ると、父は、
「その切れやすい性格と言葉使いをなんとかしなさい。もっと精神を鍛える為に修行に励みなさい。」
と言って目を閉じた。




