13.お茶会⑦
皇帝陛下と馬鹿皇子と執事の二階堂さんと、中田さんと10人くらいのメイドさんが私たちの見送りに玄関先まで来てくだった。その時、外から馬の鳴き声と、馬車の扉が開く音がした。私と父が下履きに履き替え、皆さんに挨拶をしている時に玄関の扉が開いた。そこには見目麗しい青年イケメンが立っていた。第一皇子の清華様だ。
父と私は清華様に頭を下げると、清華様は
「頭を上げて下さい。芦屋正敏様ですね。お目にかかれて光栄です。」
と礼をした。そして清華様は
「娘のこのは様ですね。14歳にして大本山での修行を許されたと伺っています。修行は大変かと思いますが頑張ってください。」
と言ってくださった。なぜ清華様は私が大本山に行く事をしってるの?実は私が冨久岡に行くのは、歴代最高の大魔導師と言われる曽祖母の元で修行をするためなのだ。この事は一部の人しか知らない事である。しかしイケメンに応援されたら俄然やる気が出てくるのは自然の摂理。私は
「はい。ありがとうございます。」
と笑顔で答えた。その時、私の膝裏を誰かが押し、私はそのままバランスを崩して倒れてしまった。振り返ると、馬鹿皇子がこちらを睨み立っていた。いたたたた。掌を擦り剥き、血が滲んだ。その時清華様が
「大丈夫かい。立てる?」
と言って私の体を支えて立たせてくれました。あれ、草履?あー、お気に入りの草履の鼻緒が千切れてる!それに前に傷までついた!すると馬鹿皇子は
「何デレデレしてんだよ。兄さんに色目を使いやがって、バーカ。」
と言った。このクソガキ!一緒に美味いもん食って、色々語り合って、ちょっとはいい奴かもって思ったのに。それにこの草履、お母さんのお下がりの大事なやつだったのよ!その瞬間私の理性が吹っ飛んだ。私は雪駄を脱いで
「はぁ?馬鹿に馬鹿って言われたくねーよ。最後の最後にこんなくだらない事してくれちゃってさ。って、馬鹿に何言ったってわかんねーよな。」
と言うと、馬鹿皇子は、
「お前が兄さんを見てデレデレしてんのが悪いんだろーが。」
「はあー?いつ私がデレデレしたんだよ。っていうか、私が誰にデレデレしたって馬鹿皇子には関係ねーだろーが。痛っ。」
私は父に頭をはたかれた。
「このは、いい加減にしなさい。桜華様、娘が失礼な事を申しまして、誠に申し訳ありませんでした。お前も謝れ!」
「やだ。お母さんの草履の鼻緒が千切れてここに傷がついちゃった。この馬鹿皇子が押したから。大事に履いてたのに。」
悔しくて涙がこぼれてしまった。すると清華様が、
「君は何も悪くないよ。弟がごめんね。桜華、謝りなさい。」
と言って、私の涙をハンカチで拭き、掌の血も優しくハンカチで拭いてくれた。しかし馬鹿皇子はこちらを睨み謝ろうとはしない。
「菊さん。このはさんを医務室へ。かすみさん、風花の新の草履があっただろ。彼女にすぐ持ってきて。」
とメイドに指示した。私は皇帝陛下に
「あの、結構です。第二皇子に失礼な事を申してしまい、誠に申し訳ありませんでした。私は罰を受ける覚悟はできています。」
と頭を下げた。すると横で父も頭を下げていた。皇帝陛下は
「このはさん。君は罰せられることは何もしていない。桜華が悪い。桜華が君を押して怪我をさせ、君の宝物を壊してしまっただけなんだ。君は被害者だ。だから罰を受ける必要はない。」
と言って頭を撫でてくれた。そして
「私の知り合いに腕のいい下駄職人がいるんだ。だからその草履の修理をさせて欲しい。」
と言った。父は、
「鼻緒が切れたのは寿命だったんです。草履も使っていれば傷はつきます。娘は桜華様に失礼な事を申しました。それを許して頂けただけで、それだけで結構です。それでは失礼します。皆さん、お騒がせして申し訳ありませんでした。」
と頭を下げた。




