113.春休み・(風香様と)
「じゃあ、そこの棚に割烹着があるから、着て下さい。」
と師匠が風香様に言った。風香様は棚から割烹着を取って私と師匠をじっと見て、割烹着に袖を通した。そして背中の紐を一生懸命に結ぼうとされている。
・・・あっ、皇族の方だから割烹着なんて着たことないのね。私は(背中で)紐を探す風花様の手に紐を手渡した。
「ありがとう。この割烹着、素敵ね。ここにレースがあるわ。」
と言いながら紐を結んだ。そして、
「あの、何をすればいいですか?」
と風花様が師匠に尋ねた。すると師匠は
「この粉からしを湯で溶いてください。」
と言ってお湯の入った湯飲みと、粉からしの入った小鉢を渡した。そして
「お湯は少しずつ入れて匙で混ぜて下さい。辛子を混ぜて、匙ですくってツノが立ったら完成です。くれぐれも、辛子のついた手で目を擦ったりしないでくださいよ。」
と伝えた。風香様は嬉しそうに
「はい!」
と返事をした。ちなみに今日の夕飯はおでん。ちなみに私は厚揚げと玉子が大好物です。
風花様は辛子を混ぜながら
「桜に数学を見てもらったんでしょ。桜は数学が得意で、教えることも上手なのよ。よく友人達に勉強を教えてるわ。あの子数学以外もよくできるから教えてもらうといいわ!」
と嬉しそうに言った。それから、馬鹿皇子の特技や性格、人となりについてプレゼンを始めた。プレゼンの内容は馬鹿皇子がいかに優秀か、心の優しい人間かという内容だった。・・・弟が可愛くて仕方ないのね。私が知っている馬鹿皇子とは異なる内容だった。
あっ、以前雑誌で見たことある、これってブラコンってやつね。風香様は馬鹿皇子が可愛くて、性格の悪いところが見えなくなってるんだわ!可哀想に・・・。それにしても馬鹿皇子の周りはおかしな人が多い。初めて馬鹿皇子にあった時も、執事や、メイドは馬鹿皇子に酷い目に遭わされていたのに、(馬鹿皇子の事を)本当はいい子だとか言ってるし、風花様もやたらと(馬鹿皇子の事を)ほめている。そして風香様が、
「ねぇこのはさん、桜と仲良しなんでしょ。そう思わない?」
と尋ねた。私はあそこまでブラコンの風花様に思いませんとは言いづらかったので、
「私は桜様と数回しか会ったことがないんですよ。桜様のことをよく知りませんし。だからどう返事をしていいか、わからないのですが。」
と答えた。すると風花様
「え?そうなの?・・・なるほど。」
と言って、何か考え込んでいる。すると師匠が
「おでんの大根味見するかい?」
と尋ねたので、すかさず
「はーい!いただきます!」
と言って小皿を受け取った。




