105.春休み・(皇子、皇女御一行様②)
「ふう。さっぱりした。」
私は師匠が出してくれた下着と作務衣に着替えて、髪の毛をおさげに結った。洗った下着や作務衣を外の物干し竿にほして台所に向かった。師匠に
「しっかり温まったかい?」
と聞かれ、私は
「はい。とても気持ちよかったです。ありがとうございました。」
とお礼を言った。師匠は
「先にみなさんに挨拶をしておいで。居間にいらっしゃるよ。正敏達はもう食事を済ませたって。このはが挨拶してる間に麺を茹でておくからね。」
と言った。土鍋にはネギに油揚げに蒲鉾に、椎茸、花の形の人参にかしわ。具沢山でおいしそう!私は
「鍋焼きうどん?おいしそうですね!すぐに挨拶してきます。」
と言って、私は居間に行った。襖の前に正座して襖越しに
「このはです。ご挨拶に参りました。」
と声をかけると、
「どうぞ。」
と馬鹿皇子の声がした。引き手に左手をかけゆっくりふすまを開けた。すると私がご挨拶をする前に、父がこちらにやって来て、
「このは、元気だったかい?怪我とかしてないかい?師匠の修行は大変で、父さんのことが恋しくなってただろ?」
と立て続けに話し出し、私をぎゅっと抱きしめた。私は
「元気だったよ。後でゆっくり話を聞くから。」
と言って父から離れると、私は
「ご挨拶が送れました。芦屋このはと申します。よろしくお願いします。」
と挨拶をした。するとスーツを着た美女がこちらにやって来た。この方が風花様だ。
「やっと会えた!私、風花と申します。このはさんにずっと会いたかったの!去年の12月、うちに居た魔物をやっつけてくれたでしょ。その時、私、居なかったし、先日、このはさんの学校にお伺いした時も会えなかったから。私、桜華からあなたのこと色々聞いて・・・。」
と言うと、馬鹿皇子が
「お姉様!」
と話を遮った。・・・どうせ私に聞かれては困るような悪口でも言っていたんだろう。まっ、どーでもいいけど。さっさと話を終わらせてご飯食べよ。うどんがのびたら大変。私は風花様に会釈をしてから改めて、
「では、皆様長旅でお疲れでしょうから、私はこれで。失礼致します。」
と言って部屋を出ようとすると、今度は馬鹿皇子が、
「待って!もう大丈夫なのか?」
と尋ねた。私は
「はい。大丈夫です。先程は大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。それでは失礼致します。」
と深々と頭を下げた。そして襖を閉めようとしたら。又馬鹿皇子が
「あ、午後から・・・。」
と言った。その途端私のお腹が
ぐ〜〜〜!
と大きな音を出した。私は
「あ。」
っとつい声に出してしまった。その瞬間気まずい空気が流れた。恥ずかしい。すると馬鹿皇子は申し訳なさそうに
「まだ昼を済ませていなかったんだよな。引き留めて悪かった。」
と言った。・・・ふん!笑いたければ笑えばいいのに。同情されるとますます惨めな気持ちになるじゃん!私はさっさとここから立ち去りたかったので、
「それでは、失礼致します。」
と言って襖を閉めた。




