104.春休み・(皇子、皇女御一行様①)
「自分で歩けます。下ろしてください。」
と馬鹿皇子に抗議すると、馬鹿皇子は私に顔を近づけて
「気にするな。重くはない。」
と言った。ちょっと眼鏡してんだから顔を近づけなくても見えるでしょ!と私は心の中でツッコミを入れた。そこに師匠が
「申し訳ないが、ついでなんでこのまま風呂に連れて行ってもらえますか?泥だらけの足で廊下を歩かれては、又、掃除をしないといけなくなりますから。」
と言った。馬鹿皇子は
「わかりました。」
と言って家に入り私を抱いたまま師匠について行った。師匠は扉を開けて
「ここが脱衣場。」
次に奥のガラス戸を開けて
「ここが風呂場です。ここの洗い場にそのまま下ろして下さい。」
と言うと、馬鹿皇子は大事な物でも扱うかのようにゆっくりと私を下ろしてくれた。私は
「ありがとうございました。」
とお礼を言うと、馬鹿皇子は
「どういたしまして。」
と言って浴室を出てゆっくりとガラス戸を閉めた。師匠の
「部屋にご案内しますので泥のついたスーツを先に着替えて下さい。」
と言う声が聞こえた。そして脱衣場の扉を閉める音がしたので私は作務衣を脱いで桶に水を入れてゴシゴシと泥を洗い流した。次に洗濯石鹸をつけてゴシゴシ作務衣を洗っていたら、師匠が戻ってきて脱衣場から
「着替えは棚に置いておくからね。」
と言った。私は
「わかりました。」
と返事をすると、師匠は
「開けるよ。」
と言った。私が
「どうぞ。」
と返事をすると風呂場のガラス戸を開けた。そして、
「やっぱり。洗濯なんか後にして先に風呂に入りなさい!風邪引くだろ!」
と言ってガラス戸を閉め、続けて
「昼は私が用意するからゆっくり温まるんだよ。」
と言って脱衣場を出て行った。え?お風呂沸かしておいてくれたんだ。師匠は私が午前中の修行で泥だらけになる事を予想していたんだ。・・・ありがたい。私は頭と体と眼鏡を洗い湯船に浸かった。




