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103.春休み・(一通の書状②)

「邪魔がはいっちまったね。最後に何でもありの一本勝負だ。」

と言って師匠は竹刀を上段に構えた。私は竹刀を中段に構えて

「はい!」

と答えた。師匠が

「いつでも来な。」

と言ったので、私はゆっくり間合いをとった。最近は打ち込む際に魔力を竹刀に込めるなど、魔力を温存しながらの戦い方も覚えてきた。私は境内の所々にできた水たまりから水を取り出した。濁った水がシャボン玉のように空中にだだよっている。それを師匠に向けて一気に放った。濁った水が師匠に向かって四方八方から飛んでいく。師匠はそれらを竹刀で撃ち落として私の間合いに入ってきた。そうここは水溜りになっていて師匠が足を入れるタイミングで雷の術を水溜りに放った。しかし師匠は水たまりには足をつけずに私にそのまま突っ込んできた。私はそれを紙一重でかわすと、師匠私の2メートルくらい先で竹刀を八相に構えた。そして一呼吸置いてこちらに走って来て私の竹刀を払い胴の空いたところでそのまま私鳩尾を蹴った。私はそのまま吹っ飛ばされてぬかるんでいる地面に叩きつけられた。その時

「一時休戦だ。」

と師匠は言った。


 複数の足音がした。境内にやって来たのはともにいちゃんと父と眼鏡をかけた馬鹿皇子と、綺麗な小柄な青年。

「・・・父・・さ・ん。」

鳩尾を蹴られたせいでうまく息が出来ず起き上がることもできない。泥だらけになっているメガネから見える父は以前と全く変わらない姿。2ヶ月ちょっとでそんなに変わるはずもないか。私は起きあがろうにも師匠の強烈な一発のせいで動けない。仕方がないのでそのまま泥の中で大の字になって天を仰いだ。すると、走る足音が聞こえた。そして空を遮るように眼鏡をかけた馬鹿皇子の顔が、泥だらけのメガネ越しに見えた。泥だらけになって呼吸が乱れ倒れている情けない姿を、1番見られたくない馬鹿皇子に見られてしまった。すると皇子は私の横で膝を付き私を抱き上げた。

・・・え?


「勝手な事をしないで下さい。この子は自分の力で立ち上がらないといけないんです。甘やかさないで下さい。戦いの最中は自分の力で立ち上がらないと死につながります。このままここに、下ろしてください。」

と師匠は言った。すると馬鹿皇子は

「それはできません。先程摩耶様は休戦だとおっしゃっていました。ですから今は戦いの最中ではありません。絶対に下ろしません。」

と言い返した。私は呼吸ができるようになってきたので、

「もう・・大丈夫ですか・・・ら、下ろしてくだ・・さい。」

私は声を絞り出すと、馬鹿皇子は

「いやだ。」

と言った。はあ?ふざけんな。あんたのスーツ、泥だらけじゃん。お高いんでしょ。クリーニングでこの汚れがとれなかったらどーすんの?私、弁償しませんよ。と心の中でスーツの心配をしていると師匠は

「はぁ。仕方ないね。とりあえず皆さん中に入って下さい。」

と言った。

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