ある貴族少女の日記 7
年に一度あるかないかの青の日が起きて、次の日に赤の日まで起きてしまって、わたくし、もう疲労が限界です。くったくたですわ!
寮長となってはじめての青の日赤の日でしたので、わたくしは教員の皆様とともに避難経路の確認や避難訓練、それに備蓄の確認と駆け回ることになりました。すでにノウハウが分かっていらっしゃる男寮長のデュークさんがいらっしゃったのが幸いかしら。
副寮長としてサポートをしたことはございますが、寮長としてずっと対応することになるのははじめてでしたから、正直彼がいろいろと教えてくださったのは助かりました。
やはり寮長は大変ですわね。ますます前寮長のお姉様を尊敬いたしますわ。
この立場となりますと、死者や怪我人が出た際の重責がものすごいんですもの。わたくしは悪くないわとおっしゃっていただけても、気に病んでしまいそうになりますから。
そういう意味では、赤の日当日の避難で犠牲者が一人も出なかったことは幸いでした。
わたくしが最後の一人だったアリスさんをなんとか純百合棟敷地内に投げ飛ばして、避難が間に合わなくなりそうになったとき、デュークさんが危険を冒してわたくしの元に駆け寄って手を引いてくださいました。
教師の方々には危険を冒すだなんてとお叱りを受けてしまいましたけれど、わたくし、ますますデュークさんに惚れ込んでしまいました。
アリスさんに対する心配事は後をたたないのですけれど、命を落としてしまってはいけません。
赤の日の際にはパニックにより、避難中の怪我は少々ありましたけれど、少し前にエルフダケによるパンデミック事案防衛のための避難もありましたし、まったく訓練をしていないよりは良い結果になったと思います。
まだ油断はできませんが、このまま平和に赤の日が終わってほしいところですね。
しかし最近、やけに「覗き込む影」の発生率が高い気がします。たまに日記のページが破られていることもありますし、ちょっと問題ですわね。この日記帳お気に入りですのに……。
なにか、知らないところで良くないことでも起きているのかしら。
明日から見回りを増やそうかしら。
現在時刻深夜0時。
結界内にいたはずのアリスさんが行方不明になりました。
どうして、アリスさん。
あなたはどこへ行ったの。




