ある貴族少女の日記 7
まさかわたくしの元に孤独な遊園地のチケットが来ているだなんて、まったく思っていませんでした。
どこにあったのかしら……?
先生方も掲示板で見られたと思いますが、わたくし、マルガレーテは無事に生還いたしました。
出会ったのはかつての寮長。ミラーナ様でした。しかし、あの遊園地で出会うのは自分の心に整理をつけるための所詮幻影です。本人ではありません。本人であっていいわけがございません。
だってあのかたはまだ、わたくしの知らないどこかで、わたくしたちのことなど忘れ、幸せに暮らしているはずなのですから。
わたくし、本当はすごく寂しかったのかしら。
観覧車の下でお会いした際、ひどく取り乱してしまったことをお詫びいたします。
あのあと、ちゃんとデュークさんのおかげで立て直しましたの。
生還して保健室で念のため検査を受けているときに、あのかたが走って向かって来られて、飛びつくように抱きしめられてしまって……とても驚きました。寮長同士くらいの接点しかないと思っておりましたが……あのかた、あんなに心配なさるほどわたくしのことを思ってくださっていたのですね。
とてもはしたないのですけれど、不覚にもきゅんとしてしまいました。
衆人環境で泣かれておられたのは、その、貴族としてどうかと思うのですけれど。
ですけれど、とても心があたたかくなりました。
あのあと、わたくし彼に青い薔薇を渡されました。
元からわたくしは候補者の一人だったとはいえ、あまりお淑やかとは言えないので選ばれることはないと思っておりましたが……求婚をお受けしようと思います。
晴れてわたくしたちは婚約者となりました。
皆さんにも祝福していただいて、命の危機だと思ったらすぐにこんなに幸せな状況になってしまうだなんて、温度差がすごすぎて薔薇が萎れてしまいそうで心配ですわ。
これからも両寮長ともにこの神聖魔法学科で修練を積み、聖女と聖騎士となれるよう励んでいきます。
先生がたにはどうかお見守りいただきたく存じます。
頑張りますわ!




