U-04-14 内魂鏡
◯U-04-14 内魂鏡
・発生場所◇青薔薇棟 第八倉庫保管
・危険度 ◇E
・詳細
上部が半円形となっているアーチ型ノンフレームミラーの型番T-666タイプ。
青薔薇棟の第八倉庫に保管されている長さ190センチ×横幅70センチの大型全身鏡である。
壁掛けではなくスタンド型。持ち出しの際には台車が必要。
普段は全体を覆う布がかけられており、勝手な使用は禁じられている。
この全身鏡は映し出した者の身体と魂の姿両方を映す特性があるため、特異性を保持した状態で保管、利用されている。
基本的に破壊不能特性を有しており、破棄も認められない。
・補遺
使用申請書は気軽に提出して構いません。
使用期限を守り、適切にご使用ください。
珍しいモンスターの生態研究のための使用は週に一回のみ許可されます。モンスター研究会の皆さんは無闇によく分からないモンスターの捕獲をし過ぎないでください。逃すなどもってのほかです。
徒花事案「君だけのハッピーエンド」がモンスター研究会が過去に逃したモンスターが変質したものであるという噂が存在しますが、事実無根です。モンスター研究会についての徒花事案が発生する原因となりますので、噂話は平和なものだけにしてください。力ある生徒の認識と噂は新たな徒花事案を生むことになります。気をつけてください。
・事案1
生徒二人が同時に事故にあった際、魂が入れ替わる事案が発生しました。
鏡を用いて魂が入れ替わっていることが事実であることの確認がされ、経過観察が行われました。彼らは二日後に魂の入れ替わりが解消しています。
しかし、一日経過時点で魂の様子にかげりが確認されたため、魂の交換、または生まれ持った肉体以外への定着は非常に困難であるという研究結果を残すことになりました。
これにより「不老不死研究に対する身体構造の理解と魂の定着について」という論文が発表されています。興味のある生徒は図書館にて申請書を提出し、閲覧してください。
・事案2
問題を起こした生徒が神聖魔法学科に編入となり、その際に幼少期の彼女を知る生徒からこの徒花事案を使用することを求められました。
編入完了後に編入生Aにこれを使用した結果、鏡には一人の肉体に二人分の魂が収まっていることが判明しました。休眠状態の魂は本来この肉体に宿っている者の精神であり、現在肉体の主導権を有している魂は全くの別人でした。
彼女は鏡を見ると取り乱し、自身が異世界からの転生者であることを吐露しながら弁明を繰り返しました。
彼女には簡易的な記憶洗浄儀式を施し、鏡で見たことを忘却させてから編入生として生活させています。
また、徒花事案報告ファイルに彼女を示して「異世界からの来訪者」のページが発生したため、生徒としての生活を送らせながら観察することが決定しています。
なお、彼女に渡すのは校内安全マニュアルにはまだこの事案や新たに発生したページを載せる前のものです。在校生徒には学院から別途注意喚起のメールが送信されているため、確認してください。
彼女に真実を教えることは禁じられます。また、彼女の生死に関与することは推奨されません。
徒花事案同士の対消滅については生徒の関与するところではないからです。ご注意ください。
異世界からの来訪者に利用されている肉体と休眠中の魂については救出する方法を企画中です。




