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いよいよスマホの電波が入らなくなった。 …と思ったら入る。その繰り返し。スマホを性懲りも無く何度も覗いている自分が何だか煩わしくなって、電源ボタンを押した。
それからまた左側の窓に目を流した。
何度も言うが、手を伸ばせば木の葉や枝に手が届きそうだ。まあ実際に伸ばしはしないのだが。
何度かそう考えては、また今後の予定に頭を自然と巡らせていた。
ようやく山道を抜けたのだろう。トンネルを抜けると今までの窮屈さから解放された。
あたり一面の田園。次の駅に着くようだ。低木が風に揺れている。田の稲は、もう植えたてではなくしっかりと根を生やしたものだった。私にはそれがやけに眩しく思えて少し目を凝らした。
「扉が開きます。ご注意ください。」
高校生だろう。数十人がわらわらと乗り込んできた。
こんな時間に学生に出会うことを予想もしていなかったので、一瞬たじろぐ。それから自嘲めいた思考を頭の片隅に残しながら、
そうか、もしかしたらテスト期間か。それか何かの行事か。そんな事もあったな。と、自分を宥めた。
各々が思い思いの場所に着席していく。
各々が思い思いの考えで話し、黙り、俯くを繰り返していた。
私はその光景に何とも言えない気持ちになった。理由は何となく分かっているけれど今尚この感情に支配されたくはなかった。何となく耳栓がわりにしていたイヤホンの音量を1つあげて、また左側に目を流した。
いつの間にか道路や青い橋が見えてきて、また今後の予定に頭を巡らせた。