同日、10時2分、展望台 前編
彼女の姿が見えない、
隠れているのか。
『遠くから俺を狙い撃つつもりか?
出て来いよ』
「……」
『フンッ、
返事は無しか』
(ピッ)
どこからか音楽が流れる。
『そこにいたか、沙由』
彼女は茂みの中から出て来てにっこり笑って言った。
「……こんばんは、かづ君」
『……メールアドレスは変えても、
中々、電話番号は簡単に変えられないもんな』
「ちょっと、見通しが甘かったかもしれませんね」
『……まぁ、わざわざ文のほとんどをカタカナにするほど、ノリノリだったのは意外だったけど』
「あははは……今更ながら恥ずかしいですね」
『……ところで熱は下がったか?』
「はい!
お蔭様で!」
『そうか……なら……
……負けても、言い訳するなよ!』
俺はバットを構えた。
「……そうするしかないんですね」
沙由は、拳銃を俺に向けた。
『……そうするしか無いんだよ』
「私は……本当はあなたを殺したくなんてありません」
『俺だってそうだ。
けど……そうするしかないだろ?』
「そうですね……
互いの……存在が賭かっているんですから……」
『……互いの存在を賭けて……』
「はい」
『なら……来い……生き延びる為に……
……発動!!』




