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同日、夕方(惟舞視点) 前編
今日……かづ兄ぃは帰ってくるのだろうか?
渡したい物があった。
昔、私が川で流された時、
かづ兄ぃが助けてくれた。
でも、その時かづ兄ぃは自分の大切な物……
お父さんからの唯一のプレゼントであるペンを壊してしまった。
……私を助ける為に。
だから、私は同じ物をかづ兄ぃにいつか渡そうと思っていた。
その頃から、少しずつお金を貯めて、
同じ物であっても、それはお父さんからのプレゼントでは無い事はわかっていた。
でも、それは私なりのかづ兄ぃへの感謝の気持ちだった。
そして、今日はクリスマスイヴ、
プレゼントを渡すには絶好の日だ。
なんとか貯金は貯まり、
買う事が出来た。
「ごめんね惟舞。
今日はクリスマスイヴだけじゃなく、
惟舞の誕生日だから、
本当はどっかお店に連れていきたかったんだけど……」
『いや、そんな事いいよ。
なつ姉ぇは仕事あるんだし』
「でも、せっかく今日は家でする事にしたのに中々終わらなくて……」
『仕方ないよ。
それに今日は豪華じゃない?ご飯』
「まぁ、それくらいはね……
買ってきたやつだけど」
『は、ははは……』




