同日、昼 教室
「河月君!どこ行くんだ!さっきの話、まだ終わってないよ!」
『うるさいな…どうだっていいだろ』
「説明して貰わないと困るんだよ!」
『それはお前の都合だろ?
俺はメシ食うんだよ』
「…だって、納得いかないじゃないか!
学年一の美女と言われてる紺野沙由ちゃんと一緒に登校しながら、
さらに女の子…しかも沙由ちゃんに負けず劣らない美少女と聞いたよ!」
『そうだ…お前、ぶん殴っていいか』
「なっ…それはボクがさっき言った事だよ!
駄目に決まってるだろ!」
『そうか』
と、そういうと同時に奴のスネを蹴った。
「…痛ぅぅぅあああぁぁ…」
『…静かになったな。
…行くか』
俺が今、大人しくした男の名前は赤松礼司
一応、表面上では俺の友達となっているが、
俺にそんなつもりは一切無い。
コイツはルックスも頭も運動神経もいいのだが……
未だに彼女の一人も出来ない。
その原因は性格にあり、
ナルシストで、
いっそ気持ちいい程、本能に忠実、
平たく言えば変態。
一時期、かなりモテていたが。
周囲がコイツの本性を知るとかなり引かれていた。
そんなコイツと俺がつるむ利点は、
コイツ以外と話す必要が無くなるからだ。
まぁ、コイツ一人でかなりウザく、
今更ながら後悔しているのだが……
……屋上
「あ!やっぱりかづ兄ぃここに居た!」
『惟舞…』
「昔っからかづ兄ぃそうだったもんね!
高い所嫌いな癖に空が見えるって理由で屋上好きだもん」
『…何か用か?』
「二つ頼みたい事があって」
『二つ?何だ?』
「校舎の中、案内して」
『そういうのは同級生がやってくれるだろ?』
「知り合いが居るから大丈夫って断っちゃった」
『…ハァ、わかった。
じゃあ、放課後にな』
「うん!後……一緒にお弁当食べていい?」
『……メシくらい自分のペースで食いたいだろ』
「私居ちゃ駄目なの?」
『……そういう言いかたじゃないだろ』
「私が居ちゃ邪魔?」
『……好きにしろ。
俺は俺のペースで食べるぞ』
「やった!」
『……ハァ』
「かづ兄ぃ、美味しいよ。かづ兄ぃの作ったお弁当!」
『……ああ、ありがとう』
先程、述べたように姉貴は料理が一切出来ないので弁当を含めて俺が作っている。
(昔の知り合いって面倒だな……)