親友はオレのカノジョを好きでした
テストよりも大問題があった。部活。
「やっべー。オレ、テニスってほぼしたことねーわ」
とオレ。
「あー。別にサボってもいーし。サッカーさー、オレ、小学校んときにはやってたけどー」
へー。みんみんはサッカー経験者か。
「じゃ、大丈夫じゃね? G高、そんな強豪とかじゃねーし」
我が校はスポーツ弱々。
「でもなー。走れっかなー。テニ部、あんま、走んないんだよなー」
もとに戻った時のことを考えると、サッカー部には在籍していてほしい。友達いるし。
「頼む。朝練に出ろとまでは言わねーからさ、サッカー部は行って」
オレはみんみんに頭を下げた。
「朝練?! そんなんあんの?」
「いいって、朝練までは」
「ごめん」
「ポジションはトップ。右。テニ部はどーなってる?」
「んー。試合あるときは巧いやつだけ連れてかれる。だから大丈夫」
つまりみんみんはレギュラーじゃないってことか。
放課後、男子硬式テニス部へ行ってみた。
「みんみん、地図帳サンキューっす」
地図帳の持ち主いたし。でもって、延滞してたのに礼言われたし。
「みんみん、ここにいたのかよー。探したじゃん」
クラスで隣の席の林が部室に現れた。林って部活も一緒だったのか。だから仲いいのか。
「悪ぃ」
着替えてテニスコートまで行くのに、ゆる~っとしている。着替えもだらだら。
ネットは後輩の1年生が張ってくれていた。2年のオレ達はたらたらストレッチ。なんか、全体的にゆる~と感がみんみんっぽい。
テニスは小さなころ、旅行先で家族と数回したくらい。
ぶんっ
素振りをしてみた。ラケットが軽い。そっか、オレ、昔は小学生なのに大人用のラケット使ってたもんな。
どきどきの1球目はホームランだった。力加減を調整しよう。
なんとか部活終了のころにはボールの扱いに慣れてきた。テニスって楽しいじゃん。
汗を流した後は仲間とラーメン屋。この辺はサッカー部と一緒。
「なー、朝練って来てる?」
豚骨スープをすすりながら聞いてみた。
「まさか。起きれねーし」
みんみんの周りには脱力系の友達が多い。つーかテニス部のカラーかも。
「ふーん。何時からだっけ?」
朝練出て少しでも練習したい。上手くなりたいじゃん。
「はははは、オレらが起きれねーのに、みんみんが起きれるわけないってー」
「だよだよー。自由参加だしさー、7時からってことになってるけど、7時に来るやついねーし」
「部長も7時半じゃないと来ねーから」
「ってことは実質7時半からってことか」
「どーした? みんみん」
「『テニスの王子様』でも読んだ?」
「みんみんが時間聞くとかレアー」
そんなこんなで部活はなんとか乗り切った。
みんみんはどうしてるんだろ。
心配していると、みんみんからメッセージが届いた。
『センターバックに
怒られた。最後ま
でボールを追えっ
て』
センターバックをしているのはオレの親友、宝田翔。
宝田は弱小チームだとかそういったことは気にしていない。とにかく何事にも全力で挑むタイプ。だから人として尊敬できる最高のヤツ。
『気にするなって。
部活出てくれてあ
りがと』
と返信。
『朝練来るって約束
しただろって怒っ
てた』
1年の夏合宿の時に宝田と約束した。強豪校じゃなくても行けるところまで行こうって。オレらの代で過去最高の成績を残そうって。以来、お互いに1度も朝練を休んでいない。
『しゃーないって。
ムリしなくてもい
い』
『朝練だりぃっつっ
たら、殴られそう
になって避けた』
『気にすんな。血の
気多めだから』
『オレはお前だった
から天使可憐をあ
きらめたんだって
』
『泣きそうな顔だ
った』
曇天の霹靂。