二幕「大昔の狂い者」
―…「ん」
狂い者は、治療されてしばらく経って起きた。
まだ傷が痛み、あまり声が出せないようだ。
「…あ、起きた。こんにちは、狂い者さん」
化け者は狂い者に話しかけた。
「…」
「あなた、檻に放置されて死にそうだったんだよ?
破壊魔に放置されてた、とか?」
「…なんで破壊魔って言葉、知ってるの」
「え?狂い者も破壊魔も沢山いるじゃない。あたりまえの言葉だよ」
「…狂い者って言葉まで? …ここまで破壊魔が増えてるの?」
「…えっと…。…一応聞くけど、今は何年何月何日か分かる?」
「えーっ…と…4月26日から1日経ったはずだから…427年4月27日…でしょ?」
「…今は2018年3月17日。」
「えっ、は?2018…年!?なにそれ…」
「…これはタイムスリップ現象、ってものかな…?
こうなると破壊魔のキチガイ化で次元が歪んだってことか…
とりあえず、名前とか、どんな生活してたとか、教えてくれる?」
「…う、うん…
私は電解ビリカ。毒親で有名な電解家の次女。
いつも親に怒られ操り人形にされてばかりで…
お姉ちゃんだけ、いつも甘やかされてた。
…あるとき、そんなお姉ちゃんが失敗作って言われて殺された。
それを見てた私は、親に見てたところをばれて、一生懸命逃げた。
途中で捕まって、それで、気絶して、檻に放置されて…
しばらく過ごしてた。
その間に少しだけ破壊魔が増えたみたいで…
あと、大人のこと、破壊魔って名付けてた。
あと、私みたいな人を「狂い者」ってね」
「毒親か…まさか大昔にも破壊魔がいたとは。
この時代にも沢山いるよ。ほんとに沢山、ね。
私は破壊魔を殺し壊す仕事をしてるの。
仲間もいるよ。ほら」
「わぁ、狂い者さん、起きたんだね」
「…はい」
「この子、ビリカって云うんだって。
破壊魔のキチガイ化で大昔からタイムスリップしてきたらしいよ。」
「えー!?すごい…!」
「そうなると、今の破壊魔と関係ありそうだな…
本で調べてみるか」
「あの…私…これからどうすればいいかな」
「しばらくここにいるに決まってんだろ。な、エナ!」
「…そうだな、零架」
「てことで、よろしくね、ビリカ。」
「…よ、よろしく…」
―「…大昔の破壊魔と現在の破壊魔…か。
なにか見つかればいいが…どうだろうな。」
「エナ、それっぽい本あったぞーっ」