一幕「檻と大昔と狂い者と治療。」
―破壊魔の町に狩りに来た嫌われ者の化け者は、暗い暗いところに、檻を見つけた。
暗い暗い檻に、人がいるようだ。狂い者、のようだ。
「そこに、いるんでしょ?」
化け者は、暗い暗い檻を見て、話し掛けた。
「…喋れないの?」
そう聞いたが、狂い者は首も振らないし、頷きもしない。
「体も、動かせないか…とりあえず、檻から出してあげなきゃ」
ドッ ガシャン。
化け者は自分の力で檻を破壊した。
どうやら少女のようだ。
「耳…聞こえてるよね……あ、ちょっと動いた…
一体ここで何が…とりあえず、狂い者たちのとこに連れていってあげる。
治療しなくちゃね…」
―「へぇ、狂い者が檻に…か。治療しないとこりゃ死ぬな…おい、カミカ。道具を持ってきてくれ」
「はーいっ あの町で何があったんだろうね…」
「あそこには破壊魔が殺人してるって噂もぉ…」
「殺人ねェ…奇妙だねェ…はぁ」
狂い者達は、冷たく言葉を交わし新たな狂い者を治療した。
「あとは…食料を用意しとけ、麻己」
「分かった~。えっと、保存してた心の肉…」
―「う…あ…っ…い…嫌、やめ…あ」
「うるさい!!お前なんていらないんだ、要らないんだイラナイんだ!!」
「ぁ…嫌…うあああああああああっ」
「叫ぶんじゃねぇ!!…お前なんてイラナイ『失敗作』だ!!!」
それは、大昔のこと。
精神破壊魔という存在が生まれた。
それと同時に破壊魔が言う「失敗作」が殺された事件が起こった。
「失敗作殺人事件」。
今の破壊魔に繋がる大きな事件だった。