九幕「決断」
―「ふう、楽しかった…ありゃ、エナ、寝ちゃってる」
「夜更かしするといつもこうだよ、エナは」
「う~…ん……電解…そこに…破壊魔毛虫が…あ」
「どんな夢見てんだか。…布団かけてあげよっと」
「叶、魔…優しいね」
「ははは」
「ねぇ、化け者、叶魔。…私、冒険家の狂い者やりたいんだ。」
「冒険家…?」
「うん。いろんなとこ冒険して狂い者を助けたい。破壊魔に天罰下して、…あ」
「…はははっ、ビリカらしくていいと思うよ」
「うん、ボクもそう思う」
「…ありがと、二人とも…」
「ビリカがそれでいいなら、僕も応援するよ。」
「え…っ?」
「大丈夫。いつでもここに帰ってきなよ」
「…行って…いいの?」
「勿論。狂い者は『自由』に道溢れた生き物なんだ。破壊魔にも誰にも邪魔されず死なずに生きる。それがいい」
「…化け者…叶魔…」
狂い狂った狂い者の世界に感謝し、仲間の狂いの優しさに涙したビリカだった。
だが、その心は複雑だった。
「…私、どうすればいいんだろう」
布団の中に入り、ビリカは悩んだ。
自分の気持ちと、仲間の気持ち。
「…」
考えていたら、眠ってしまった。
―「大丈夫。いつでもここに帰ってきなよ」
―「ビリカがそれでいいなら、僕も応援するよ」
二人の言葉が、頭に浮かぶ。
―「狂い者は『自由』に道溢れた生き物なんだ。破壊魔にも誰にも邪魔されず死なずに生きる。それがいい」
自由があるとしても。
自由だとしても。
「…やっぱり、私は…」
ビリカは、化け者やエナに沢山のことを學んだ。
仲間と離れるのは淋しいし、でも夢ができて。
「私は、狂い者なのに……」
悼むような、複雑。
―「決めた。」
ビリカは、冒険家になることを決意した。
こんにちは。闇妖すみれです。
明日(3/24)から、遂に春休みです。
そして大昔失敗作殺人事件編も、遂に次で完結致します。
十幕にいくまであっという間でした。ありがとうございます。
さて、狂い者達はビリカをどう送るのか。
十幕をおたのしみに。




