開幕「真の物語」
―嫌われ者の化け者。別名「失敗作」。人によって化け者にされた天罰下しの肉食類である。
生きていてはいけない存在・いらない存在として飼い殺しにされていた。
本当は化け者は人間の世界を統一し、悪い人間に天罰を、よい人間には良い事をする存在だった。
…だが、世界は間違えた方向へ生き、人間は化け者を敵にした。忌み嫌ったのだ。
好物は人肉・心の血・心の肉。日々自分を壊した「精神破壊魔」の心を殺し、狩りをしているため心狩りは得意。
そんな嫌われ者の化け者が、人間に心を壊された『狂い者』に話し掛け、化け者の居場所へ連れていき、一緒に人間の心を壊し殺すという計画を立てたのだ。
その物語が、このおはなしだ。
嫉妬人から偽鬱、精神破壊魔まで幅広い人間を裁く闇正義の狂い者。
幅広く壊し尽くす無様な人間。
そんなちょっと不思議でちょっとダークな物語。
偽鬱とか嫉妬人には、嫉妬で耐えられないかもしれない、そんな物語。
化け者の親友と思っている者も、嫉妬人だから嫉妬して見ないかもしれない物語。
そんな、物語。
エナも零架もカミカも、みーんな、狂い者。
化け者の仲間。
狂い者はいずれみーんな、化け者の元に来ることになる。
人間が貫かれて、理解したり。
破壊魔少女が、味方になったり。
どこまでもある、化け者の『可能性』。
その色々が詰め込まれた、そりゃあ狂い壊れた困った困ったおはなし。
そういう物語。それはそれは困った物語。
さぁ、破壊のはじまりだ。
―「そこにいるんでしょ、ねぇ」
喋れない狂い者に、化け者は話し掛けた。