黒の牛【ダークタウロス】
僕はまたもう一度転送されて行った。不思議な感覚だった。風を切ると言う言葉があるが、そうではない。この場合は時を切る。そう言った方が分かりやすいだろう。
「ここが第1層ゼロの地かァ」
始まりにふさわしい穏やかな天気でのどかな日だった。気持ちが暖かくなる。
もう帰ろうかとも、思えてくるような、気分だった。
1層のボス 【ダークタウロス】は攻撃力が非常に高いモンスターだ。名前は黒の牛だが、色は赤かった。紅色に近い色だ。
僕は今まで積み重ねてきた人生という名の経験値でLevelがなんと最初から26だった。並大抵のモンスターは一撃だった。情報によれば、Level18の冒険者が7人で負けたらしいので、僕は戦いを挑むのが怖かった。
「やぁ! 君僕達のパーティーに入ってボス攻略しないかい?」
それはパーティーの誘いだった。5人組のパーティーで、レベルは25と僕と1しか変わらないなかなか強めのパーティーだった。快く承諾した。
迷宮に入り、冷たい風を横切りながら僕は、迷宮の中を歩いた。そしてその時、大きな扉が手を伸ばせば届く距離にぽつんと建っていた。
「ここからが本番だ! 行くぞ!」
大剣スキル 破壊の一撃を繰り出し、ダークタウロスの角をへし折った。それに続いて、他の者達も攻撃をしていたが、体力ゲージをほとんど減らしてはいなかった。
「グワァ!!」
野生の雄叫びとしか言いようのない雄叫びだが、攻撃力ダウンのデバフスキルだった。その事に気付かず突っ込んでいった4名は死亡した。
「連続切り!!」
八つ裂きになったダークタウロスは粉々になり天へ登っていった。
EXP8700 ドロップ 黒のフード
Level29まで上がった強力な装備アイテムではないものの、初めての装備アイテムドロップに喜びを隠せなかった。
「次は2層! フラワーチェーンだ!」