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JACK+ 怪談 ショートストーリー  作者: sungen
JACK+怪談 2章 子供時代
9/23

『一緒』他4編


『一緒』



俺の家には人形がある。

日本人形。

床の間に飾ってある。


ずっと飾ってある。



いつまでも、飾ってある。



■ ■ ■


『お風呂』



夕飯の後、俺はお風呂場の蛇口をひねった。お風呂沸かさないと。

まずは栓無しで。

…しばらくは赤っぽい水が出てくる。


ウチは古いから、水道管の鉄サビが溶け出しているらしい。


じゃばばば、と勢いよくお湯が流れる。

…赤さびが出なくなってから栓をした。


テレビを見ながら十五分くらい待つ。丁度良いくらいだ。

「ばあちゃん、風呂先に入って良いよ」「はいはい」


ばあちゃんが入った後、俺が入ると。

「あ」


「ばあちゃん!―お湯足すなら、最初は捨ててって言ってるのに」

俺はぶつくさ言いながら、赤い湯に浸かった。


「シャワーまで赤い。っとにもう」

俺はぶつくさ言いながら、頭を洗った。



■ ■ ■


『庭』



綺麗に咲いたツバキ――を眺めていたら、葉に虫コブがあった。


「ばーちゃーん、虫コブあった」

俺は畑仕事をするばあちゃんに、ちょっと遠くから言った。

「おや。まあ、ほっときなさい」


「うわ…なんか沢山あるんだけど」

「まあ、ほっときなさい」


「…うん」

気になったけど俺は放っておいた。


次の日。ツバキが枯れた。

ぼたばたと、花が地面に落ちていた。


咲いたばかりなのに。ちょっと可愛そうだった。

葉っぱも茶色い。こぶはどこかへ行った。


「枯れちゃった…」

「病気だったんだねぇ…明日、庭師さんに来てもらおうね」

「うん…」

俺はとぼとぼと、家に戻る。


玄関の壁に手をついて――。


俺は、はっと手を離した。


…こぶがある。



■ ■ ■


『部屋』


二階にはふた部屋ある。

俺の部屋は階段上がってすぐ。右隣は兄貴の部屋。


俺の部屋は、六畳くらいの和室。

畳の上にブルーの絨毯が敷いてあって。入って右手が机と本棚。ふすま。

ふすまを半分塞いで勉強机があって、反対側にベッド。

窓があって、カーテンもブルー。俺は窓に足を向けて寝てる。

壁は土壁じゃなくてふつうに壁紙。痛んで少し崩れるようになったから、防かび塗装してもらって、変えたらしい。柱があって、白い壁紙。

ユーディレッティのポスターが貼ってある。

…悪くない部屋だと思う。


ちなみに、日が暮れて…。俺は今部屋の中心にいる。

カーテンも閉めた。風呂にも入った。

後は寝るだけだ。


ふすま…。


前、ここに『こっとんすい』がいたけど、しばらく出てきてない。

…もう二度と出てこないで欲しい。


天井を見ると、手形みたいなシミが付いてる。子供くらいのサイズ。

いつからあるっけ?というくらい薄かったけど、最近少し濃くなった。


他には特に何も無い。


このくらいなら…。佐藤さんがくれたお守りもあるし。

最近はいつも、寝るときは首にかけてる。

さて。寝よう。


「――げっ」

ベッドの方を見て、俺は思わずそう言った。


壁に『こぶ』がある。


玄関にあったあれだ。

俺がツバキの敵と思って、思いっきり叩こうとしたら消えたあれ。


……こっちに来たのか?

手のひらくらいの大きさ。壁紙が盛り上がってる。


どうしよう。


けど、もしかしたら今度のは、湿気…とかかも?

壁が全体的にたわんでる気がする。


「…よし」

カチカチカチ。


俺はカッターナイフを持ちだして、とりあえず刺そうかと思って、それはやめて、カッターで周りを切ることにした。

少し盛り上がってるくらいだし…、これはたぶん『湿気によるたわみ』だ。


けど、意外に周りは固くて切れない。跡は付くけど。


「うーん…」

俺はどうしようか考えて、何となくカッターで目、目、口と。軽く引っ掻いた。


すぐ後悔した。

なんかやっぱり、真ん中辺りは。中身がぶよっ、てしてる。

玄関のやつと同じだ。あと、ツバキの虫コブと一緒。


あれも虫コブにしては結構大きかった。

―ツバキの枯れた葉っぱから、虫こぶは綺麗サッパリ無くなってた…。


俺は見なかったことにして、布団かぶって、お守りを握って寝た。

きっと、明日は、きっと消えてる…。



しばらく、家に羽虫が多かった。



■ ■ ■


『理科室』




理科室は好きじゃ無い。


だってたまにカエルがいるから。





だって……鳴き声がする。




〈おわり〉

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