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JACK+ 怪談 ショートストーリー  作者: sungen
JACK+怪談 2章 子供時代
8/23

『動く人形』他4編


『動く人形』


おもちゃコーナーを通りかかった。

別におもちゃが見たい訳じゃ無くて、近道だったから。


猿?ゴリラ?がシンバルを鳴らすおもちゃ。ひたすらシンバルを叩く。

キャンキャン吠える白い小さな犬のおもちゃが、少し進んで、キャンキャンキャン。

電池の入ったカラスのぬいぐるみ。これは鳴くのかな?ちょっと欲しいかも。


俺はカラスを手に持ったまま、その棚を見てみた。

このカラスはどうしよう。


上の方には女の子用の人形。欲しいとは思わないけど、種類が多いな。へぇ。

あれ?この人形。


「ああ、なんだ。ただのこびとか」



そう小さく呟いたら、まわりの子供が一斉に振り返った。


■ ■ ■


『火の玉』



「隼人。そういえば昨日、火の玉見た。見間違いかも知れないけど」

ここは隼人の家。


俺は思い出して言った。


しゃく、と口に含んだラムネ味の棒アイスが美味い。真ん中で割るやつ。

…学校帰りにフッと視界を横切った物、あれは火の玉だったのかな。

「へえ。どんな?」

隼人も棒アイス。二人で半分こにして食べてる。


「中心が黄色っぽくて。オレンジのぼやっとした光…すぐ消えた」

「調べてみよう」

隼人が調べてくれた。


「――プラズマっていう、自然現象だって言う事もあるんだって」

「へぇ。自然って凄いな」

俺は棒アイスを食べ終えた。



■ ■ ■


『金魚』



金魚が死にそうだ。



「どうしよう…係なのに」


そこで俺は色々調べて、色々改善した。

水槽も大きくした。水草も増やした。


がらっと変わった水槽で、金魚は快適そうだ。

新しい餌も良いらしい。美味そうに食べてる。

俺の顔を覚えたのか、餌の時間になると近寄ってくる。


俺の方を見て、何か言いたげにしてる。

耳を近づけてみた。なんだろう?


…いや。さすがに金魚の言葉は分からないって!

イルカなら…いや、それも意味は分からなかったけど…。


…『Blue Bird』で隼人に相談した。

隼人は何でも知ってる。


「なあ隼人。いちごが最近、何か言いたそうにしてるんだけど。何だと思う?」

いちごというのは金魚の名前だ。

「うーん…。あ…。もしかして。いやさすがに無いかな」

さすがの隼人は心当たりがあるようだった。


「何!?」

「ほら水槽に一匹で寂しいとか」


「あ…」

そう言えば、あの水槽はやたらでかかった。

横幅大体70㎝。

大きい水槽無いですか、って先生に聞いたら…。


「寂しいって、俺だけじゃだめか?ちゃんと世話してるけど」

「いつも一緒って訳じゃ無いよね」

「クラスメイトは?沢山いるけど」

「やっぱり、友達は金魚同士がいいんじゃないかな」

「ふうん…」



そこで色々水槽に足したら、落ち着いたみたいだ。

好きな金魚もできたらしい…。


俺はしぶしぶ報告した。…楽しそうで…ちょっと寂しい。

「ほらやっぱり」「…」

そうじゃないかと思ってた、なんて。

…隼人はやっぱりイジワルだ。



■ ■ ■


白鷺しらさぎ



「隼人、しらさぎがいる!」

「へぇ。どこ?」「あそこ!」


隼人がそちらを見た。

白鷺は田んぼにいる。


「ホントだ。可愛い!」

隼人が笑った。隼人は鳥が好きらしい。


「あ、スズメだ!見ろよ!」

俺は指さした。


「君って、鳥が好きだね」

――隼人にそう言われた。



■ ■ ■


『お出かけ』



「速水君、高校生とまた遊んでるんだって?いけないよ」

「兄貴の友達なんです」


「えっ…それはもっといけないよ!」

先生はそう言った。


俺は黙り込んだ。それは…兄貴はモヒカンだけどさ。



…下校中、なんだか悲しくなってきた。


いろいろ我慢してるのに…。

兄貴だって、一応大好きなのに。

隼人ともっと遊びたいのに…隼人と、親友になりたいのに。


カァカァ、とカラスが俺を馬鹿にして、俺はさらに項垂れた。

アホウドリじゃないだけマシか…。


「んーー!!」

俺は頭を抱えて考えた。どうすればいいのかと。


「あっ!!」

そして閃いた。



「速水君。高校生とまだ遊んでるんだって?いけないよ」

「隼人は青鳥高校の生徒会長なんです」



■ ■ ■


『暗やみ男』



「くらやみおとこ?」


親父が俺を本家へ呼んで、話し始めた。

「って何?」

俺は首を傾げた。…なぜか親父はドヤ顔をしている。意味不明だ。

「ああ、というのは」

ざっ。とふすまが開いた。お手伝いさんだ。

「お茶をお持ちしました」


「ち――場所を変えるぞ」「え?」

俺は手を引かれて、本家の庭に出た。手が痛い。


「そこに正座しなさい。だからな、良く聞け」「はい」

縁側で、俺は正座させられた。返事する。



「いいか、くらやみ」カッコン「を聞いたら」ニャー「あ、ねこだ」「なさい」



「??何て言った?」

俺は聞き返した。親父は俺を引っ張って、なんか玄関へ向かった。


「先生、坊ちゃんとお出かけですか?」

庭師の人が笑って言う。



結局、喫茶店でケーキを食べた。



〈おわり〉

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