18/23
『またね』
「おはよー。ふぁ。よく寝た…」
「朔。おはようございます、だ」
「…おはようございます、お父さん」
朝起きた俺は、台所で親父に挨拶した。
ラジオ体操があるので、ちゃんと服は着替えてる。
とりあえず朝飯だ。
「じゃあ親父。もう行くから」
俺は靴を履いて、ラジオ体操カードを持って出て行こうとする。
「待て」
「何?」
「……何でも無い。…この鈴はお前が持っていろ」
そう言って親父が俺に鈴を渡した。
「肌身離さず持て」
「でも、鈴って五月蠅いし」
俺は言った。
「…しばらくは机にでもしまっておけ」
「しばらくって、いつまで?」
俺は尋ねた。具体的に聞かれて、親父は舌打ちした。
「お前が高校生になるまでだ。その時が来たら分かる」
「…?まあ、いいけど…、じゃあ部屋に置いといて」
でも俺は高校行く気無いし――。
俺はそれは言わずに、玄関を出た。
「じゃあ親父、―また来てね」
何だかよく分からないけど、大丈夫だったみたいだ。
…俺はもうしばらく、この家にいよう。




