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JACK+ 怪談 ショートストーリー  作者: sungen
JACK+怪談 2章 子供時代
15/23

『夏祭り』


次の日の午前。


「あれ?親父」

珍しく親父が来た。兄貴もいる。

親父はものすごく出不精で、めったに屋敷の外に出ないのに。

佐藤さんもいる。

車か…。電車が良かったな。


でも仕方無い。一緒に行こう。

ばあちゃんもいるし、久しぶりに家族皆で出かける。

少し大きい車の、後部座席のドアを開ける。

これは本家のお客さん達を送ったりするときに、佐藤さん達がよく使う車だ。


「って、じいちゃんは」

俺は振り返った。乗ってると思ったけど乗ってない。

「親父は賑やかなのは好きじゃ無い」

親父が言った。親父とじいちゃんは似たもの同士。


「俺はにぎやかなの好き」

俺は笑った。賑やかなの、実は大好きだ。

本家みたいにやたら静かだと落ち着かない。


…――これくらいにしよう。

俺は、親父がじいちゃん抜きで来た目的をなんとなく察してる。

親父は俺を、実家に連れ戻す気だ。

じいちゃんが来ると、その手前騒げない、かも知れないから――。


親父って、実は優しいんだけど、ちょっとずれてるからな…。

怒ると恐いし。

俺はこっそり舌打ちした。



■ ■ ■


「じゃあ行こう!サク」「うん」

兄貴にくっついていよう。ばあちゃんの手を引いて、俺は進む。


「サク!綿飴食べる?」「うん」

「金魚はすくいは?」「うーん」

「射的しよう」「うん!」


俺は親父を警戒しつつ、たまに買った物を渡しつつ、夜祭りを見た。


「佐藤さん、これ食べる?じいちゃんも来たらいいのに…。お土産届けて」

でも実は、親父が来ても、じいちゃんは来ないだろうなって思ってた…。

じいちゃんとばあちゃんは、別に仲は悪く無いけど、夫婦じゃない。

つまり、じいちゃんは父方の祖父。ばあちゃんは母方の祖母。

母さんが死んでから、少しぎくしゃくしてる…ってほどでもないけど。ばあちゃんは今更本家で暮らしたくはないと思う。


「これくらいかな。沢山買ったし」

しめて千二百円。射的代は兄貴持ち。隼人とマスターにお土産も買った。

「え。もっと買おうよ~~!」

…それにしても、兄貴はまともになったな。

パーマ?の髪の毛が伸びてきた。肩をすぎるくらい。

茶色く染めてるけど、これなら二十年後くらい?の家元襲名までには何とかなるかも。

親父もじいちゃんもまだ現役だし。うんいけそうだ。…親父が頑張ったのかもしれない。


「…」

親父がこっち見てるな。

まあいいや。


俺は祭りを楽しんだ。


特に何も無かった。

本家に帰ってこいとか言われるかと思った。


「楽しかった。兄貴またな」「ばーいチュン☆朔」


よかった。ちょっとホッとした。

「では、また明日」「ああ。これを渡しておけ」

佐藤さんがそう言った。親父がお土産を佐藤さんに持たせる。

佐藤さんが何故か親父の物っぽい荷物をトランクから出す。

「では。失礼します」「ああ」

ってえ?

親父置いてくの?


――。なんか、親父が泊まるらしい。


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