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『金縛り』 『時計』
しんと静まった自分の部屋で寝ていると。
体が動かない…。
金縛りだ。
…金縛りって言うのは脳が見せる気のせい、みたいな物で、本当は目を開けていなくて、目を閉じてるんだ。
だから、無理矢理にでも目を開ければ、大丈夫。
これは、いつもの、良くあるやつだと思う。俺は目を開けようとした。
いつもはそれで大丈夫だけど。今日は。
……だめだ、体が動かない。
■ ■ ■
『時計』
「…朔」
「うわぁ!」
俺は飛び起きた。
向こう脛をぶつけてガツンと音がした。痛った!
「??…ばあちゃん?あれ!?」
――あれ?
あ。そうか。何だ、金縛りはただの夢か…。
俺はまだ居間にいた。
時計は午後五時半すぎ。ご飯もまだ食べてない。
ちゃぶ台の下で、座布団を枕にして寝てた。
「だ、大丈夫かい」
「うん――、すねぶっただけ…。あ」
「やっぱり明日、お祭りに行こうかな」
金縛りに遭う前に、兄貴にメールしよう。
……こわい夢を見て、めずらしく得をした。




