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JACK+ 怪談 ショートストーリー  作者: sungen
JACK+怪談 2章 子供時代
13/23

『鈴屋』


…プールからの帰り道。


神社のすぐ横の道を歩いていたら。

チリンチリン…と鈴の音が聞こえた。

俺は自転車が来た?と思って振り返った。


けれど夏の道には自転車は来てなかった。

いつもの、かもしれない。


日差しがまぶしい。

セミの声がする。これは本当にそこで鳴いてる。


俺は歩いて行く。


チリ…チリ…とまた鈴の音が聞こえた。

風鈴じゃない。


「ん?」

大きな木の陰に…なにかある。

神社の出張販売みたいだ。巫女さんと神主さんがいて。

木の台に赤い布が敷いてあって、その上にたくさん鈴とか、招きねこ、とかお守りが並べてある。

台の上に鈴屋、と書いた紙が置いてあった。


さっき後ろから鈴の音が聞こえた気がしたけど、気のせいだったみたいだ。

きっとあれは風鈴とかだったんだろう。

それとも、誰か買った子の鈴の音か。


プール帰りの小学生が数人いて楽しそうに見てる。…まあ、俺も小学生だけど。

俺は興味が無かったので、そのまま通り過ぎようとした。

暑いから早く帰りたい。

「君、どうだい見て行かないか」

「お金無いです」

俺は言った。


そしたらお姉さんが。

「あ、大丈夫、今―」

そう言って、箱を取り出した。

神主さんがそれを幾つかつまんで。

「この鈴をタダで配ってるんだよ。たくさん貰ったから。はい皆に」

と言った。

「わぁ」「かわいい」「ありがとう!」

チリチリ、と神主さんに小さな鈴を貰った子達がはしゃいだ。


「じゃあ君にも」

「…どうも」

俺は鈴を貰った。紫の紐を通してただ結んであるだけの鈴。


ばあちゃんにあげよう。

と思ったら。

「あ、そうだ君のおばあさんにも」

そう言われた。赤い紐のやつも貰った。

…まあ、家すぐそこだし。知ってたんだろう。

「えっと…、ありがとうございます」

俺は鈴をふたつ、受け取った。



■ ■ ■



「お帰り朔。スイカがあるよ」

ばあちゃんに言われた。


「ん!――あ、そうだこれ!神社で配ってた」

俺は鈴を渡して、水着とタオルを洗濯機に入れた。


「ばあちゃんに二つともあげる」

「いいのかい」

「うん。鈴って五月蠅いし。スイカ食べよう」

俺は二つ渡した。


「ばあちゃん、明日どっか出かけない?あ。明日花火大会か…。あ。そうだ。本家の方でお祭りもあるっけ…」

テレビをつけて俺は言った。せっかくの夏休みだって、皆がはしゃいでる。

人混みに紛れて花火を見に行く事も無いかな。

明日は確か、本家の近くで納涼の祭りがあったはずだ。

「花火はいいや。お祭りもちょっと遠いかな。でもどっか出かけようよ。買い物でも良いから」

「おやおや…じゃあ、どこにしようか」


どこにしようかな。



……どこへ行こうか。鳥たちが導くままに……。



「…んー?」

何か聞こえた?俺は首を傾げて目を擦った。


――。

眠いから少し寝ようかな。体もちょっと重いし。プール気合い入れすぎたかな。

でもすぐにご飯だし…。

眠い…。


俺はご飯を食べてから二階に上がった。



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