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拓馬の彼女

「いずみ?」

私の声に、いずみがピクッと肩を動かした。

「…。その声は優菜…?」

やっぱり、その女は私の大嫌いな平山いずみだった。


「二人ともどうしたの?」

拓馬の音が機械音のように声に変わっている。

気付くと映像と言うと少し抵抗あるけど、私たちが今いる世界も乱れてきて、ノイズが入ってくる。


「バカ女。私の名前はリリカ。いずみなんて知らない。」


ああ、そう言うことか。

ここの世界で現実世界の名前を言うのは禁句なんだ。


「そっ。私はリンネ」


「あーぶないーーー」

そこで、空飛ぶじゅうたんがバルコニーに突っ込んできた。

説明しなくても分かると思うが、バカ母と瞬である。


「イテて」

バカ母が瞬に抱えられるようにして立ち上がるのを見ると、何故だか分からないけど、ムカついた。


「ちょっとバカ母。何してんの?」

「リンネ、あんなもバカなんじゃないの?私はルナ。いい加減にしないとさっきみたいな現象がまた起きるかもよ。本当バカな子でごめんね、瞬」

ヘラヘラと瞬に謝るバカ母にまたムカついた。

「バカ母、いい年して乙女ゲームの中に入るとか、こんな若い男の子とくっつくとか、どうかしてんじゃないの?」

いやいや、乙女ゲームの中に入ってるって認めてる私も少し頭がおかしくなったのかもしれない。

これは夢だと思ってはいるが、心のどこかでは現実であってほしいと思っているから。

「あのね、リンネ。私は母性本能が強いの。だから、瞬のこと守りたくて守りたくて仕方ないの」

はぁー?

母性本能が強い?

どの口がそんなこと言ってる?

いつもいつも自分のスケジュールを優先して、娘のことは後回し。

本当の子供を大切にしないくせに、母性本能が強いとかよく言えるつーの!


「で、何しに来たの?バカ母」

「お前のことが心配で来たに決まってるでしょ?」

また訳の分からないことを。


でも、不思議とバカ母が来てから、世界の歪みが戻った。


「たーくま。少し寒くなってきたから、部屋に入ろうー」

いずみが、甘えるような口調で拓馬に言ってきた。

そうだ、今一番に考えなくてはならないのは、こいつのことだった。

どうして、こいつがここにいるのか?

どうして、こいつが拓馬の彼女なのか?


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