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憧れの拓馬

「拓馬はここにいます」

私たちが着いた先は、まるでインドの王様が住んでいるような紫色の宮殿だった。

世界観が…。

まぁ、実際の(?)拓馬もこんなようなとこに住んでで、拓馬と会話するときの背景はこんな感じだったけど。

いよいよ、拓馬に会える!

拓馬に彼女とかそんなこと今は関係無い。

(正直言えば関係無くないけど。でも、それよりも…。)

拓馬に会いたい!その事が私の心を奮い立たせる。

早く会いたい、一刻も早く会いたい!


そう思いながらも…。


少し怖くなる。

「大丈夫ですか?リンネさま」

私の心情を察してか、楓が私の顔を覗きこんだ。

イケメン過ぎて本当やばい。

「多分、大丈夫」

「じゃあ、行きましょう」

そう言って先に歩きだそうとする楓の白のシャツの裾を引っ張ってしまった。

こんなことも、現実の世界じゃ絶対にできない。

ここが二次元、そして、私は現実の世界と違う人間、そう思ってるからかな?

行動がちょっと大胆になれる。

「どうしました?」

「やっぱり、少し不安なの」

こんなとき、あのバカ母なら向かうとこ敵無しって感じで突っ込んでいくのだろうけど、いくら二次元とは言えそんな風にできない。

「リンネさま。拓馬に会うの止めますか?」

「それはイヤ」

「そう言うと思ってました」

楓が私の前に立ち、私の両肩に触れ、

「大丈夫です。私が着いています。もし、逃げ出したくなったとしたら、素直に逃げましょう。その時は私も一緒に逃げますから」

力強く言ってくれた。

「ありがとう…」

私、何言ってるんだろう?

ここまで来てそんな弱気。

そんな気持ちを吹っ切るように、軽く息を吸った。

「よし。いこう」


私たちが宮殿の扉の前に立つと、勝手に扉が開いた。

自動ドアと言う感じでは無く、ズズズと重い扉がゆっくり開いた感じがした。

「拓馬はこの階段を上ってすぐのバルコニーにいると思いますが、どうしますか?ここからは一人で向かいますか?」

「…」

「心配しないでも、私はここでちゃんと待っています」

そうだよ、ここからは一人で行くべきだ。

「一人で行ってくる」


私は一段一段階段を上りながら、ドキドキが高まっていくのを感じた。

あー、心臓が止まりそう。

呼吸をするのが苦しい。

このまま本当に拓馬の姿見たら、確実に心臓発作起こす。


バルコニーが見えてきた。

そっと、バルコニーへのガラス戸を開けると確かに人が立っているのが見えた。

あの肩までの栗色の髪。

身長は高いけど、華奢な体。

真っ白のタキシードがとても似合ってる。

間違いなく、拓馬だ。


「た、た、た、たくま?」

私の声に拓馬がゆっくりと振り替える。

深い緑色の瞳の目が合う。

あーーーーーーーーーーーー。

本物の拓馬だーーーーー。


「…。ひょっとして、リンネ?」

年齢設定は私より二歳ぐらい年上のはず。

「は…。はい。初めまして。」

「初めましてじゃないよね?」

「え?」

「いつも会ってたよね?ボクたち」

…。

言葉が、出てこない。

拓馬にそんなこと言われるなんて。


「あ、あの」

何を言おうとしているのか分からなかったけど、私が口を開きかけた時。


「たーくまー」

拓馬の後ろから小柄でちょうロングの髪をした女が顔を出した。


その瞬間、一気に現実に、引き戻された。

顔は私の知っている顔よりずっと可愛いけど、この声は聞き覚えがある。

この声は私の大嫌いな女の声。


私がクラスの中で一番大嫌いなパリピ女。

平山いずみの姿だった。


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