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告白の覚悟

次から次へと零れ落ちる涙を拭いもせずに私を真っ直ぐ見詰める瞬に掛ける言葉が見付からない。

「リンネも拓馬に想いを伝えようとしたんでしょう?それがどれほど残酷な結末になることだって分かってるのに?」

ルール違反の結果が元の世界に戻されると言うことになるのは知らなかった。

私そんなことも知らないで、無責任に想いを告げようとしてた。

想いを告げることで元の世界に戻ることになるなら、私は…。

「拓馬は私にとってとても大切で大好きな人、その気持ちを伝える事がこの世界の終わりになるのなら、私は伝えない」

私は拓馬と離れたくない。

拓馬とずっとここにいたい。

「そうだよね、せっかく想いを告げてもその相手の存在が消えてしまったら何も残らなくなってしまうから。結果的に僕の想いは叶った筈なのに、この言いようの無い虚しさだけが残ってる」

瞬は自分の胸に手を置き、腫れ上がった両目を閉じた。

大切な人に想いを伝えると言う事は、とても怖いこと。

想いが叶うなんて保証どこにも無いから。

もし、それがきっかけで、大切な人と二度と話せなくなったりしたら?

ただ一緒に過ごせるだけで幸せだったのに、それさえも叶わなくなってしまったら?


それでも、何故想いを伝えようとするのでしょうか?


それはきっと…。


「瞬の気持ちちゃんとバカ母に伝わってるよ、瞬だって気付いてるよね?」

私は彼の前に膝を着き、瞬の手を握ると、目を開いた瞬がそっと笑みを見せた。

「うん。嬉しかった。すごく幸せだった。彼女を好きになってルナさんのことを愛しく思えて幸せだなって心から思えた」

瞬の瞳にようやくキラキラとした輝きが戻ってきた。

自分の想いが届いた瞬は本当に心から幸せだったはず。


そう。想いを告げてその想いが受け止められた時の幸福を得る時間は、告白しようと決めた時の勇気が報われる瞬間。

自分と同じように相手も自分の事を好きでいてくれることなんて奇跡でしかない。


奇跡か…。

瞬とバカ母。そして、拓馬と私の関係は本当に奇跡としか言いようが無い。

同じ世界で生きていなかった私たちが出逢うことができた。


「話し聞いてくれてありがとう。リンネ。次に会った時は僕、ルナさんのこと覚えていないかもしれないけど、リンネだけには忘れないでもらいたい、僕の気持ちを」

本当は僕だって忘れたくないけど。

僕はルナさんのこと決して忘れたくないけど。

瞬の心の声が聞こえる。


「うん。忘れないよ、話してくれてありがとね、瞬」



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