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同意書の注意点

何で自分から意中の相手に想いを打ち明けてはいけないのだろう?


契約更新の際に、私は同意書のことを思い出していた。

ここでの生活の際に書かされた同意書。

その注意事項?(いや、後の二つにはたいしたこと書いてなかったが)

一つだけ不思議な言葉が…。


『意中の相手に想いを打ち明けてはいけない』


おかしくない?恋愛ゲームならスタート段階で、好きにパートナーを選んでゲームが進むはず。

てか、パートナーを選ばないと先に進めない…。


まぁ、確かにパートナーを選んだところで、自分の言葉をゲームに反映することはできないが…。

恋愛要素肝心なシチュエーションで、相手に問い掛けられた時に、ほぼ三つの選択肢から答えを選ばなくてはならない。

しかも、その際、クイックセーブをしておいて、自分が選んだ結果が正しかったのかどうかの好感度を確認して、下がったらまたセーブ場所に戻ると言うのがお約束だ。


それはゲームだからよね?

本当の恋愛は違う。

拓馬との会話を少し前に戻すことなんてできないもん。

でも、ここには自分の言葉で自分の気持ちを伝えることができると言う特権がある。


…、…、確かにあるけど、それはそれで不安になる。



もし、仮に契約書なんて無くて、自分から意中の相手に想いを打ち明けて良かったとしたら?

私は拓馬に告るのだろうか?


脳裏に拓馬の優しい笑顔が映る。

深い緑色の瞳が私を映し出し、私の言葉を待ってる拓馬。

いつもの王子さまのような出で立ちで立っている拓馬に、私は言える?

こんな平々凡々な私が拓馬に告白なんてできっこないー!


そうだよ、この世界にセーブポイントなんて無いんだから!


もし、ダメだったら?


一瞬、楓の存在が頭をよぎる。


『私じゃダメですか?リンネさま』


うー、伯爵そのものの容姿で健気に私の事を見守ってくれている楓。


拓馬がダメだったら楓なんてそんな都合のいい考えいい訳ないー。


あ、そう言えば、バカ母はどうしたのだろう?

契約更新したのかな?

まぁ、バカ母のことだから…きっと。



「リーンネ」

ほら、この何も考えてない能天気な声はバカ母だ。

バカ母がパートナーの瞬と供に空飛ぶじゅうたんに載って、窓から入ってきた。


「リーンネ、契約更新どうした?」

見た目はピチピチのJKだけど、本当はアラフォーのババァのうちのバカ母の今日の服装は…。


「バカ母?何考えてんの?」


何と学生服。

ミニスカートの裾を気にしながら降りるその姿は本当の姿を知ってる私にとっては痛々しい。


「だってー、学生服ーもう一度着てみたかったんだもん。ここなら膝も笑ってないから平気でミニスカート履けるしぃー」


そう言って私の目の前でくるんと周ってみせた。

うげって思いながら、冷たく聞いてみる。


「で、何しに来たの?」



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