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夢の中で

拓馬は楓の質問に少し躊躇った表情をした。

そんな拓馬の表情にドキドキが止まらない。

束の間の沈黙の後、楓の目を見つめ返し。

「それって今答えなきゃいけないこと?」

長めの前髪の間から見える瞳から少し不愉快そうな印象を感じる。

「そもそも楓に、そんなこと答えなきゃいけない義務なんてないし、オレが誰を好きだって楓には関係無いだろう?」

ああ、拓馬のこんな表情本当に大好きだ。

いつも画面の向こうで見せてくれていたこの表情にどれだけドキドキしていたことか……。

現実世界で嫌なことばかりの私をいつも救ってくれた拓馬。


「リンネさま?」

知らず知らずのうちに、身を乗りだし過ぎていた。

楓のはっとした顔を見て、

「あ」

と小さく声を出してしまい、気まずい空気が流れる。

現実ではこんな場面に出くわすこと無いからどんな反応していいか分からない。

「リンネ、起きたなら、一緒にご飯食べよう!」

拓馬が一瞬にして空気を変えてくれた。


この世界でのルール。

自分の意中の人に想いを打ち明けてはいけない。


現実世界での私は地味で目立たないただの女子高生。

もし例え現実に好きな人がいても、ただ見ていることしかできないような勇気の無い女の子。

でも、ここは現実とは違う。

私の理想の世界。

願えば叶う、そう思える世界。

今はまだ拓馬には何とも思われていないって分かってる。

それでも。


「うん、一緒に食べよう」

こうして差し出された拓馬の手に触れられる。

今はまだその幸せだけで生きていける。

叶うはずの無かった事が叶えられる。

そんな幸せの中を少しでも長く過ごしていたい。


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