バルコニーの告白
『今度の中間テスト平均点以上取れなかった奴は夏休み毎日補習に来ること。いいか?よく聞け。この世界は勉強が全てなんだ。勉強しない奴は人間なんて止めろ』
5月も下旬に差し掛かった頃、私の大嫌いな担任がいつものように大きな声でみんなをけしかけている。
学校なんて行きたくない。
勉強なんかしたくない。
行き場のない思い。
現実なんていいことない‼
「おーい、おーい、リンネー。まだ起きないの?」
ん?バカ母が私を呼ぶ声がする。
ん?リンネ?私の名前はリンネじゃないよ。
あれ?私の名前って何だっけ?
名前思い出せないとかやばくない?
「リーンネ、早く起きないとあんたの大好きな拓馬とっちゃうわよぉー」
拓馬?
ダメー拓馬は取らないで。
目を開けると、目の前に知らないキレイな女の人か……。
声はバカ母だけど、見た目が……。
あ、そうだ、ここはいつものあの現実じゃなかった。
夢のようのこの生活が今の現実で、あの全てが嫌な現実が今は夢。
「何でバカ母がここにいるの?何しに来たの?」
ここは私と楓が住んでいるお城。
遊園地で遊び疲れた私はソファーでうたた寝をしてしまったみたい。
「たまにはあんたと夕飯でも食べようかと思って、用意してたの」
いつものピンクのフリフリのドレスに白地に赤いハート型がプリントされているエプロンをしたバカ母がフンフンと鼻唄を歌いながらテーブルを指差した。
テーブルの上にはいくつかのキャンドル、結婚式で見るような大きなケーキ、エタージュラなど、パーティシーンのような雰囲気に彩られていた。
その周りには、ケーキを少しつまみ食いしている瞬。
ワイングラスを指で回しているレント。
パイナップルやらメロンやらマンゴーを果物皿に移している光希の姿があった。
あれ?勢揃いかと思いきや、楓と拓馬の姿が見当たらない。
「たまには、みんなで夕飯食べましょ」
ぐるぐると回りながら、まるでミュージカルのように言うバカ母。
「あれ?拓馬と楓は?」
「バルコニーじゃないのかしら」
母親はエタージュラに並べられたマカロンを一口口に運びもぐもぐしながら答えた。
マカロン‼
私の一番大好きなスウィーツ。
でも……。
その前に、私は拓馬と楓が気になり、バルコニーに行ってみた。
満天の星の中、拓馬と楓が二人で何やら話していた。
美形な二人とこの景色、めちゃ絵になる。
盗み聞きはいけないと思いながら、そーっと耳をすまして聞いてみた。
「私はリンネさまのことを愛しいと思ってる」
いきなり、楓の愛の告白が聞こえた。
「拓馬、お前はどうなんだ?」
楓の言葉に私は動揺が隠せなかった。
えええーーーー?
そこを拓馬に聞くー???




