バカ母のいいとこ?
バカ母は当然のように、拓馬の隣にいた。
拓馬は私を気遣い、チラチラっとこっちを見て私の側に来ようとしてくれてるのに、バカ母に阻止されてるし……。
あのバカ母。
まぢ最悪。
深いため息を吐くと、瞬が心配そうに私の隣に来てくれた。
「大丈夫?リンネ」
隣を見るとそんなに身長の変わらない瞬とバッチリ目が合う。
くりっとした可愛い大きな目。
女の子っぽい格好したら、間違いなく女の子に間違われるだろなーと思ってしまうほど可愛い瞬。
「瞬はどうしてバカ母の側にいつもいるの?」
それはパートナーなのだから、って簡単に言われるのは分かっていた。
でも、たとえパートナーでもあんな自己中なバカ母と一緒にいたら、疲れること間違いない。
しかし、瞬はにこっと笑って。
「リンネもルナさんのいいとこたくさん知ってるよね?」
予想外の言葉が返ってきた。
バカ母のいいとこ……?
あったっけ?
一日考えてても見つかりそうにない答えだった。
「ルナさんは楽しいことを全力で楽しむことのできる素敵な人だよ。リンネはルナさんのこと自己中って言うけど、ルナさんは自己中と言うか、自分のことで精一杯で他の人のことなんて目に入らないんだよ。普通の人は結構他人の目が気になってしまったりするけど、ルナさんは全く気にならない、人の悪いとこも見ない、とてもとても素敵な女性だよ」
瞬、バカ母のことそんな風に思ってくれていたんだ。
いやいや、でも、それって自己中なことと全く変わりはないよね?
人を巻き添えにする自己中……。
「私、バカ母に怒られたことないんだよね。それって単にバカ母が自分のことに夢中になりすぎて、私のことなんてどうでもいいと思ってるからじゃないのかな?」
いつでも世界の中心は自分。
そんなバカ母。
「それは違うよ。ルナさんはリンネのいいとこたくさん知ってる。怒らなかったのは、リンネが正しいことか悪いことかちゃんと分かっている子だからだよ」
イケメンボイスで、そう言われると照れてしまう。
バカ母が私を見てる?
今までそんなこと考えたことも無かった。
私は楽しそうに前を歩いてるバカ母を見た。
でも、でも、私の好きな人を取る親ってどうよ?




