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拓馬とのデート

「リンネはどこに行きたい?遊園地?映画?どこでも好きなとこへ一瞬で連れて行ってあげられるよ」


拓馬は私の手を握りしめたまま満面の笑顔を見せてくれた。

大好きな拓馬の笑顔。

いつも画面の向こうで、この笑顔に癒されていた。


でも、でも……。


ねぇ、拓馬、どうして私を誘ってくれたの?

そんなこと聞けない。

聞いてしまったら、夢から覚めてしまうかもしれないから。


「あ、ちょっと待って」

突然、立ち止まった拓馬は、庭園のようなとこに入り込み、地面から何やら探していたようだった。

しばらくして目の前に現れた拓馬は、

「ベタだけど、四つ葉のクローバー。リンネにあげる」

確かに……確かに、ベタすぎる。

だけど、それは貰える相手によって意味合いが変わってくる。

単純に自分が全く興味の無いクラスメイトの男子とかからもらったのなら、

『うわー、ベタだし、いらない』

って思えるけど、それが出会うことが叶わないはずだった憧れの人から貰えたものなら、めちゃテンション上がる。

「ありがとう……。大切にするね」

ほら、こんな言葉がいとも簡単に出てくる。

そして、これは言葉だけではなく本心だ。

拓馬が私のために四つ葉のクローバーを取ってきてくれた。

ただ、それだけで私は嬉しかった。


「着いたよ、ここで良かった?」

本当に一瞬だった。

拓馬と手を繋ぎ、たった数歩歩いただけなのに、目の前に遊園地があった。


す、すごい、さすが二次元。

顔パスですぐに中に入れるとことか、すごすぎる!  


「リンネ、風船配ってたから貰ってきたよ」

実際のデートではあり得ない。

ゆらゆら揺れる水色の風船を嬉しそうに持ってくる拓馬が格好良すぎて。

見てるだけで顔の筋肉がゆるんでくる。

「観覧車乗ろうよー、リンネ」

拓馬がそう言って再び私の手を取ってくれた時。悪夢は起こった。



「あら?デート?抜け駆けなんてずるくない?」


今日は出て来ないと思ったのに、甘かった……。


いつにも増してフリフリの服を着たバカ母と、ティシャツとジーンズのこれまた軽装の瞬が現れた。


私の夢が終わった……瞬間だった。




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