恋愛成就の実なんて当てにしない。
「どうしました?リンネさま。」
急に手を止めた私を不思議そうな顔でのぞき込む、光希。
そのしゃべり方。
声は全く違うけど、そんな話し方されるとどうしても楓を思い出してしまう。
「光希。…。こんな恋愛成就の実なんかで拓馬の気持ちをこっちに向けるなんてやっぱり良くないと思うの。」
私の話を聞いて、光希は、うんうんと頷き、
「それなら、早く帰りましょう。」
そう言って、じゅうたんの用意をしてくれた。
「あら?リンネ帰るのー?」
果実の苦味からすっかり立ち直っていた、バカ母が不思議そうに聞いてきた。
「あら?あんた勝負諦めるの?」
いずみも聞いていきた。
「私は正々堂々と勝負したいから。」
そう宣戦布告して、私は光希とじゅうたんに乗った。
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じゅうたんの上で、光希が色々私のために話をしてくれていたけど、私の耳には届かなかった。
これで本当に良かったのかな?
いや、これで良かったんだ。
こんなんで拓馬の気持ちが手に入ってもきっと後で後悔すると思う。
それに…。
「着きましたよ、リンネさま。」
気が付くと、お城に着いていた。
お城の前では、花壇に水をあげている楓がいた。
「り、リンネさま。お早いお帰りで…。」
楓は私のことを見ると、とても驚いた顔をした。
こんなに早く帰って来ると思わなかったのだろう。
「ただいま、楓。」
私の言葉に驚きながらも笑顔で応えてくれる楓。
「お帰りなさいませ。果実は食べれましたか?」
「食べなかった、って言うか見つけなかった。」
「え?」
どうして?と言うように、楓は小首を傾けた。
「どうしてです?どうしてあんなに楽しみにしてたのに?拓馬の気持ち振り向かせられると言ってたのに。」
「そんなんで拓馬の気持ち手に入れても嬉しくないって気付いたの。」
それに…。
楓に会いたいって言う自分がいた。
なんて言える訳ないけど。
「ねぇ、果実食べなかったからお腹すいちゃった。一緒にデザートでも食べよう、楓。」
私の言葉に楓はキラキラの笑顔を見せてくれた。




