自分の気持ちに嘘はつけない。
「こんなところにいたの?ずっと探したましたよ。」
ふと、私たち4人の前に茶髪のイケメン、光希が現れた。
「あ、久しぶり。私を探してたの?」
「はい。今日丘のふもとに恋愛が成就する果実が食べ頃になったようです。良かったら一緒に食べに行きませんか?」
え?
恋愛が成就する果実?
やばい、めちゃめちゃ気になるんだけど。
「それってどうすれば恋愛が成就するの?」
光希は、穏やかな笑顔を見せてから答えてくれた。
「この国のただの言い伝えですから、本当に成就するかどうかは分かりませんよ」
「でも、信じる気持ちが大事だよ」
瞬が私の手をぎゅっと握って言ってくれた。
「リンネは、どうしても拓馬と結ばれたいんでしょう?だったら、何でもやってみるべきだよ。僕はリンネを応援するよ」
そうだよね、信じる気持ちが大切だよね。
「私行きたい」
「リンネさまならそう言うと思いました。では、参りましょう。」
光希が差し出してくれた手に自分の手を重ねた。
あ。
「楓は?楓も一緒に行くでしょ?」
楓は、私の問いに目を伏せた。
こんな表情の楓見たことない。
「申し訳ありません。今日中に片付けなければならない仕事があるので、リンネさまのことは光希に任せます」
ここに来てからほとんど楓が側にいてくれたから、楓と別行動なんてちょっと変な感じ、と言うか不安な気持ちでいっぱいになる。
「ちょ、ちょっと」
バカ母が私の服を引っ張り、私の耳元で言ってきた。
「あんたバカなの?楓はあんたのこと好きなのよ。その好きな相手の恋愛成就のために出掛けるほど、楓だってお人好しじゃないわよ。見なさい、楓のあの顔。あー、かわいそう」
そうだ。
私、自分の気持ちばかり考えてた。
楓の気持ちなんて全く考えて無かった。
「楓。…。ごめん」
楓に近付き、頭を下げた。
「謝らないでください。私は、リンネさまのこと諦めた訳ではありませんから」
そして、私の頭をくしゃっと触る。
「それでも、リンネさまの幸せが私の一番の幸せです」
楓…。
こんなに私のことを思ってくれている楓に私本当にひどいよね?
「なので、私はリンネさまの一番の良き理解者でいたいと思います、頑張って見付けてきてください」
風にのって楓の匂いがした。
ごめんね、楓。
でも、自分の気持ちに嘘はつけないの。




