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産まれてくる次元を間違えた

えーーーーーーーーーー。

ここは一体どこーーーーー?

私の目の前に広がる景色は今まで自分が全く見たことも無い情景だった。

と言うか、そんな言葉じゃ表せない。今まで自分が生きて来た中で全く出会う事の無かった景色、出会うはずのない景色だった。

この世の中で存在しえない色使い、配置。

まるで。

一面アニメ色に染まった世界。

現実の世界ではこんな風な色存在しない。

そして、更に違和感。

おかしいのは景色だけでは無かった、何よりもおかしいのはここにいる人たちだ。

美形すぎる。こんなの現実な訳ない。

三次元のイケメンなど取るに足りない程のイケメンたちが存在しているのだ。


「優菜、あんたも早くこっちに来なさいよ」


私から少し離れたところから、私の母親らしき人間が私を呼んでいる。


あれはうちの母親なのか?

私の目がおかしくなったのか?

何故、そのような確認をしてしまうのか?

それは、その人物が私のよく知る人物とはだいぶ掛け離れているからだ。

うちの母親は中年太りの最中で、顔だってシワだらけのババアのはずなのに。

今私の目の前にいるのは、スタイル抜群で八頭身なんて余裕である上に、それに顔だって小さすぎる。


まるで、アニメのヒロインのようだ。


しかも、母の周りはイケメンだらけ。

一体どうなってるの?



       *****


うちの母親はとにかく変わっている。

もう40近いくせに、本気でスーパーヒーローに変身できるとか、空飛べるとか信じきっている。

まぁ、本気と言っても通常運転の時は本当に屋上のような高いところから飛び降りたりはしない。

ただ、アルコールを体内に入れた時は本当にヤバイ。

そんなにお酒強くないくせに飲むのが好きだから。

たまに深酒などした日には、それこそ、アパートの5階のベランダから飛び降りてしまうのではないかと思ってしまうほどのテンションで、ベッドにロープで縛り付けておきたくなる。

何かの冗談だと思うでしょう?

いやいや、これが本気で心配になる原因と言うのがあって、たまに、夜中に目が覚めると、○○戦士のセーラー服のコスプレをして、変身ステッキを握りしめている母親が床に眠っているもんだから、これは本当にヤバイなと思ってしまう。

アルコールが入ってない状態の時だって、学校から帰ってきた私が目撃する情景は、○○戦隊の変身グッズを持って変身シーンを再現している母親の姿だったりするから、本当に危なすぎる。


母一人子一人の生活の中、こんなにも母がバカすぎるのにグレることもなく真っ直ぐ生きてきた私は本当に偉いと思う。

しかも、こんなバカな親とは似ても似つかないほどの秀才で(自分で言うと鼻につくが事実なものは事実なので仕方ない。)中学時代の勉強なんて、学校の授業中聞いてるだけで、成績は常にトップ。

高校は県内でも有名な進学高に入学した。


まぁ、ここまでは私の人生そんなに悪いものじゃなかった。

(母親はバカだけど)

だけど、高校に入ってからの私の人生。

何で進学高校なんて入ったんだろう?

確かに勉強はできるが、勉強が好きな訳ではない。

高校卒業後は、適当なとこに就職して適当に生きていたい。

と言うか、今だってバイト三昧の生活を送って欲しい物を欲しいだけ買って毎日遊んでいたかったのに。

進学高校はバイトしちゃいけないなんて意味分かんない。

毎日毎日勉強で、息がつまるつーの。


まぁ、バカな母親は勉強しろって一言も言ったことないし、今だに勉強のことに口を出したりしないけど。

バカ母のそんな性格には助けられている。


こんなバカな母親との共通な趣味がある。


それは、アニメの話だ。


好きなアニメがほぼ一緒。

アニメの感想もほぼ一緒。

ただ一つ違うのは、その好きなアニメのキャラクターだけ。


私の初恋は、アニメのキャラクター。

母の初恋もアニメのキャラクター。


母親は、当時あるアニメの主人公に本当に恋をしていて、そのアニメの主人公の『早乙女』と言う名前と結婚すると本気で思っていたようだ。


私もピチピチのJKなのに、彼氏いない歴年齢、おまけに現実の人間を好きになったことは一度もない。


母親は、まぁ、結婚できたけど、私を産んですぐに離婚したし、やっぱり性格に問題のある結婚不適合者なのだろう。


私たち二人がよく話し合う課題。


それは…。



「産まれてくる次元を間違えたーーーーーーーーーーーーーー」



毎日そんな話してたけど、何がどうなってこうなった?


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