模擬戦
どぞ(/・▽・)/
美依の推測通り、消えた人工幻獣はその後暴れることはなかった。
そして無事帰還した俺達を待っていたのは、調査報告書だった。
美依は俺の訓練データと、あの人工幻獣の行方と出現理由に関しての報告書。
そして俺は――
「春、あなたの合宿の結果のことは、後日話から、それまでは休んでて、疲れたでしょう?」
何もしなくていいそうだ。
「あ・・・あぁ、わかった。美依も、あんま無理するなよ、しっかり睡眠とれよ」
「えぇ、ありがとう」
俺は美依の部屋を出た。
隣にある自室の部屋で、俺はベットに横になる。
この約二日間で起きたこと、そしてデュランがいうことを聞いてくれたこと、そしてまた起きた、記憶にないうちに幻獣を倒していたこと。
これからこの倍にもなる命の危険を強いられるのか。
それはいいだろう。
だって美依一人にやらせるわけにはいかない。
デュランが言うことを聞いてくれたのは嬉しい事だろう。
そして最後の一つ。
俺の記憶にないうちに事が終わっていることに関して。
このことに関しては二度目だ。
こういう時、漫画や小説なら、二重人格とか、そんなもんだろう。
でも現実に、俺は二重人格なんかじゃない。
「ならいったい・・・・・」
深く考えるのは嫌いだ。
だから――
「ま、それはそれでいいことか」
美依の助けになってるみたいだしな。
俺は部屋の電気を消して、風呂は明日の朝にすることにして、眠りについた。
今日もまぶしい朝日。
特に今日は、昨日寝る前にカーテンを閉め忘れたために余計に眩しい。
「朝か・・・シャワーでもあびるか」
俺はタンスから着替えを出し、階段を降りて、お風呂場に向かっていく。
その時と降り際に美依の部屋をドア越しにみたが、電気は消えていて、静かだった。
「寝てるのか・・・」
しっかりと寝てくれたみたいだ。
傷を負った左腕を庇ってまで書類を書いていたから、少し心配だった。
今日、精密検査するみたいだけど、本人曰く『こんなの日常茶飯事、気にしてたらきりがないわ』といっていた。
俺は美依の部屋を後にして、風呂場の扉を開いた。
「え?」
「は?」
扉を開くとそこには、黄色のバスタオルで、蒼い髪を拭く。
・・・裸の美依がいた。
「っと悪い!」
俺は扉を急いで閉めた。
しかし焦ってミスをした。
「はぁ、春が入ってきてどうするのよ・・・」
ため息をついて、ジトっとした目でこっちをみる。
「わ、悪い・・・」
俺は美依が体拭いて、服を着るまで、扉の方をずっと向いていた。
後ろでは、布と肌、次に布と布がこすれる音がして、思春期の男子としては、いろいろと妄想が膨らむ。
が、そんなことを考えているとしられたら、絶対に・・・ウチコロサレル
「・・・終わったわ、あと、お風呂の線抜いちゃったから早く入った方がいいわ」
そういって俺の横を通り、扉の取ってに手をかけた。
「ちょっと待て」
俺は美依の肩をつかんで止めた。
「寝てないだろ」
「・・・はぁ、寝たわよ?」
ため息を吐きつつ答えた。
しかしその言葉が偽りだと気づく。
「いいや寝てない、目、赤いぞ」
「・・・っ!」
美依は少し動揺したが、すぐにいつもの冷静な美依にもどる。
「地味によく見てるのね」
「なんで寝なかったんだよ、書類なんて明日でもよかっただろ?」
「・・・ごめんなさい。でも、終わらせておきたかったのぉ」
そういって、俺の手をそっとどけて、出ていく。
「あ、そうそう、今日は午後に試験があるからね・・・それじゃ、私はそれまで寝るわ」
一度立ち止まり、最後の方はあくび交じりにそう言い残して部屋へと帰っていった。
「試験・・・なんとなくは何の試験かわかる」
俺は服を脱ぎお風呂場に入り、そして気づいた――
「あ、風呂のお湯なくなってる・・・・」
また入れなおすのも面倒だから、俺は仕方なくシャワーだけ浴びて出た。
俺はシャワーを浴び終えてと時計を見ると、時刻は朝の六時になろうとしてた。
午後までは時間があるし、睡眠も十分取ったし、特に今日は午後までやることはない。
「・・・よし、もう一眠りするかぁ」
俺はあくびをしながら部屋へ戻った。
部屋に戻る途中、美依の部屋をそっと見たが、疲れていたのだろう。
気持ちよさそうに熟睡していた。
俺は部屋に戻ったが、しばらく眠れそうになかった。
なにも考えずにベットに横になっていると、頭の中に美依に告白された時のことを思い返した。
中学の頃だったか。
俺の部屋で高校に向けて、猛勉強してる時、急に言われたもんだから、驚いた。
答えはもちろんイエスだった。
俺と美依は、小さい頃からずっと同じ家で、幼馴染、家族、友人、姉弟として暮らしてた。
その時にはもう、美依の兄の姿はなかった。
たぶんあの頃にはもう・・・・・・。
答えを返して、しばらくそのあとも勉強してたが、とうぜん気分がそういう気分じゃなくて、結果的に、アーケードに買い物――デート――に行った。
最近は着けているとこを見ないが、あの時に買った、鈴つきの青色のリボン、どうしたんだろうか。
そのあとは、お互い高校に入学して、少し距離が空いた。
男女のグループができて、学校では話しづらかった。
でも別に仲が悪くなったわけじゃなく、その後も交際はつづいて、今でも付き合っているが、いや、俺はそのつもりでいるが、美依はなんて思っているのか。
少し思い返していると、だんだんと物事を考えるのがだるくなってきた。
俺はそれを眠りの予兆と判断し、ゆっくりを瞼を閉じ、眠りに就いた。
「ん・・ちょ・・・と春・・・・・・おきなさい!」
「んん・・・なんだよ?」
目を覚ますと、呆れと怒り、両方の表情で、美依がベットの横で立っていた。
「あと少し起きるのが遅かったら、リンの特大麻酔弾をぶち込もうと思ってたところよ」
「いや待て、そんなもん人に撃ったらやばいからな! 睡眠通り越して永眠だから、夢じゃなくてあの世に落ちるから!」
片手にリンを構えていた。
あとワンコール遅れていたら、死んでいた。
ここは戦場か。
「まったく、今何時だと思ってるのよ?」
呆れてグーの音、いや、弾一発もでないといった感じで、美依が俺に聞いた。
俺は端末の時計を見た。
時間は・・・。
「一時・・・半」
「はぁ・・・寝すぎよ」
そんなため息ばかりついてるとあれだぞ、よく言うじゃん・・・なんだっけ。
「ほら、行くわよ、早く着替えなさい」
「わ、わかった、今着替えるから、ドアの外で待っててくれ」
そう言うと、美依はドアの外へと出ていった。
これは急いで着替えねばと、俺はタンスから半袖のシャツと、ジーパンを出してすぐに着替えた。
「悪い、寝すぎた」
「今謝られていも困るわ。さっさと行くわよ」
俺は移動しながら美依に限られた情報だけ教えてもらった。
「とりあえず、今は目的の場所まで行くわ」
美依はそういって庭の地面にある謎の扉を開き、階段を下っていく。
「この穴ってたしか・・・」
「そう、前に井戸があった場所よ、今は特別な場所になってるの、しっかり付いてきてちょうだいね」
そう言われるがままに、俺は暗い階段を、しっかりと美依の後ろをついていく。
次第に足元が明るくなっていき――
「な、なんだここっ」
家の地下に巨大な空間があった。
「シュミレート、旧市街地」
美依が、耳につけているインカムでどこかに言葉を送った。
すると、さっきまで広く、なぞの建物がたっていた場所が、レンガの家などで、それこそ、旧市街地になっている。
「さぁ、デュランを幻武にして、このマガジンをセットしてちょうだい」
「あ、あぁ、デュラン!」
俺は手を前にだし、デュランを呼ぶが、その手には、なにもおこらない。
「・・・悪い、無理みたいだ」
「だと思ったわ、これ使いなさい」
そう言って、クリアーグレーののハンドガンを渡された。
「水鉄砲?」
「別にふざけてなんかないわ、その銃は、人工幻獣のデータを元に作られた、現代の人工幻武よ、幻獣じゃないから、契約者以外も使えるの、それを模擬戦用の銃にしたの」
「使い方は?」
「デュランと同じよ」
「わかった」
俺はデュランと同じように扱ってみた。
持った感じ、重さは、デュランと変わらない。
「私はリンに対人模擬戦用のウォーター弾を使うわ」
美依は自分の幻武にマガジンをセットした。
「それじゃあ、そこに置いてある通信用のインカムをつけて、十分たったら開始の合図を出すわ」
そういって奥の方に歩いていってしまった。
俺は十分の間に美依の初弾狙撃から身を隠すために、建物の中に入り、開始の合図を待つ。
この模擬線の意味は、あまりにも無理やり感があった。
前回の俺の訓練では、人工幻獣の出現によって中止になり、演習で言った場所も、幻獣使いの本部の方から調査が出ていて、数週間は使用中止。
だから俺のために、戦闘を常日頃しているベテランの美依本人が相手になることで、試験免除となった。
幸い、学科ないのは嬉しいことだ。
『準備はいい?』
左耳につけたインカムから、美依の声がした。
「あぁ、いつでも」
俺はインカムからカウントダウンの声が聞こえ、身構える。
美依の元と思われる、殺気のような感覚が体中に感じる。
普段の美依からは想像できないほどの殺気――いや、朝起きたときに近いものを感じたか――とドス黒い血のようで、氷のように冷たいようなものを感じる。
『スタートっ』
スタートの合図とともに、無線は切られた。
俺はまず、そっと窓の外を見た。
付近の建物に、人影はない。
「撃ってこない・・・てことは今はまだ俺の場所はわからないか・・・移動するなら今か、一番高いところから撃ってそうだしな」
俺は銃を持ったまま、建物の影から影へ移動しながら、注意深く移動する。
「どうせ春のことよ、建物の影を利用しながら動けば、私にたどり着けるとでも思ってるわ・・・・甘いわね」
私のいるところは、予想外にも高所じゃない。
私が普段高所からの狙撃していることで、リンは高所からの援護に適した幻武だと、春は思っているはず。
でも、リン、正確には私の心の形――リン――は、狙撃銃から、中距離から近距離のタイプのセミート式の狙撃銃になって、ある程度なら相手と面と向かって戦闘できる。
だから高所じゃなくてもいい。
高所は複数戦のときや、他の仲間がいるときぐらい。
「リン、チェンジ――アタック」
言葉とともに、私のリンは形を変えて、長さ半分ほどになって、スコープの形も変わって、中距離用の物になった。
「さぁ、行くわよ!」
そう言って、私は走り出した。