合宿Ⅱ
長らくお待たせしてしまいすいません!
最新話です!
俺はデュランを片手に、ずっと崩れる崖の上を見つめていた。
脳裏では、何度もその最悪の事態のことが過る。
頭上では、勝ち誇ったかのように、雄叫びを上げる不死鳥の人口幻獣。
とたん。俺は言いようのない怒りを覚えた。
「――――?」
声にならない声を。
いや叫びと怒りが入り味った声を上げ、俺はデュランを構え、ゲームの容量で次々と弾丸をぶち込んでいく。
しかし、さすが不死鳥と言ったところか。
弾丸の後はすぐに消えて、傷が回復していく。
「やっぱり。美依の言った通り、俺の武器じゃダメなのか・・・。」
美依の安否も不明で、俺の武器も通用しない。
もう、ここで終わりなのか?
「なに落ち込んでいるのよ?」
とたん、上空から弾丸の雨が降り注いだ。
上を見上げると、この森に来るときに運んでくれた、一頭の翼竜型飛行幻獣―――美依曰く相性はミスト―――が、背中に美依を乗せて地面に降り立った。
「おまっ・・・生きてたのかよ」
「まったく、勝手に殺さないでよね」
やれやれと言った雰囲気で言ってきた。
「だったら連絡くらい!」
全く人騒がせなやつだ。
「それについてはごめんなさい。端末が壊れちゃったの、この子がとっさに助けてくれて、その時に落としちゃったわ」
「あれには大事なデータが入ってたのに・・・」と言って、少し落ち込んでいるようにも見える。
「それよりも、逃げるわよ。もうわかったでしょ? 私たち二人だけで討伐できるような相手じゃないわ」
「・・・・わかった」
少し迷い、反発しようか悩んだけど、流石にバカじゃない。
美依だってそれなりに傷を負ってるかもしれないし、ここは引くべきだろう。
「それじゃ行くわよ。ミストの背中に乗ってちょうだい!」
俺は美依に指示されるがままに、ミストの背中に乗って、備え付けられている人が捕まるための取っ手を握る。
「さぁミスト、飛んで!」
美依がミストにそう命じると、言われた通りにミストは翼を羽ばたかせ、夜空を舞う。
「あいつ、あんなにでかかったのか・・。」
「人口幻獣は、他の野良幻獣を倒して取り込むことで、力を増すのよ、あんなの、まだ可愛い方だわ」
「アレがかっ?!」
中にでてわかる、その本当の大きさ。
こっちのミストは、人を背中に三人は乗せて飛行できるほどの大きさ。
高さは約八メートルほど。
あの不死鳥はそれをゆうに来れる大きさで、目盛で約二十メートルはあるだろう。
「あ、伏せて!」
「おわっ!」
美依が俺の頭を抑えて、強制的に伏せさせた。
その上を、青色の炎の刃が、過ぎ去った。
「気づかれた!」
「そうみたいね」
美依が不死鳥を言いながら呟くように答えた。
「予定変更よ、春、倒すわよ」
「はぁ? さっき無理って!」
コロコロと話が変わって、もう何がなんだか。
でも幸い、まだデュランが銃のままだ、撃てと言われればすぐに撃てる。
「さっきは気づかれずに逃げれれば良かったけど、見つかったなら別よ」
「このまま逃げれば大丈夫なんじゃないか?」
「はぁ。馬鹿ね、この先には、街があるじゃない。可愛いとわいえ、あの大きの幻獣を、それも炎を纏ってる状態のなんか引き連れていったら、死者が何万でると思ってるの?」
たしかに、この先には街がある。
この時間ならみんな寝てるだろうから、避難なんてできたもんじゃないし、第一普通の人間には見えない幻獣を、どうやって説明すればいいのやら。
いや、もしも適当な理由で避難させたとしても、どこに避難すればいいんだ。
それに元々俺は倒す予定だった。
予定が元に戻っただけだ。
「わかった。やろう」
「リン。もう一働きするわよ」
美依は左手に幻武化させてリンを召喚した。
そしてそれを腰についているワイヤーと繋ぎ、落とさないようにして、自分も腰についているクリップに、命綱のようにミストとワイヤーで繋げ、横になり、構えた。
「それじゃあリン、モードサーマル。倍率は十五、サプレッサーはなし、弾種は水」
美依がいった通りに、リンは姿を変えた。
バレルの先端にあった防音効果のあるアタッチメントは消え、美依の空いている予備弾薬のポケットに、弾薬が現れ、装填してあった弾薬は消えた。
美依はその弾薬を慣れた手つきで、スコープを覗いたままポケットから取り出し、装填し、コーキングした。
「この弾はね、水っていっても、威力は人を貫通するほどよ。水鉄砲なんかじゃないわ」
「すごいな」
ただその一言だった。
「・・・・」
よく狙っているのか、ブツブツと何か言いながら、すごい集中力でスコープを覗き続けている。
また俺は、なんもできない。
この距離じゃあ、俺のデュランじゃあ、あいつまでは届かない。
仮に届いたところで、効きやしない。
「・・・・ハァ・・・・」
美依は息を止めて、吐いたと思ったら、またしばらくしたら止めてを繰り返していた。
「・・・・ッ・・・ウォーターバレットッ!」
ほんの一瞬、ミストが動きを止めた瞬間、あいつに向かって放った。
その一発はあいつの右翼に命中し、ひるませた。
「あの程度しか効き目がない・・・」
また美依がつぶやいた。
でもその表情は、少し楽しんでいるようにも見えた。
「もう一発撃つわ」
そう言って美依はレバーを引きコッキングし、そのレバーを元の位置に戻した。
「あっ。伏せて!」
「えっ?」
俺は反射で伏せた。
「ミスト、上昇!」
そしてミストは急上昇した。
「キャッ!」
「うわぁぁぁ!!」
上昇と同時に、あいつからの無数の刃が飛ぶ。
ミストはあそれを交わすために上昇したのだと気づいたのは、ミストの上昇が終わったあとだった。
「あっぶねえ」
「いった・・・」
美依を見ると、肩と腕に刺さった刃として飛んできた鳥の羽を引き抜いていた。
「お、おい!」
「騒がないで! こんなの、掠り傷程度よ」
どこがかすり傷なのか、傷口からは、血が出ているし、肩の羽は深く刺さっている。
「撃てるのか? そんな腕で?」
「右手さえやられなけきゃ、大丈夫よ」
そのあとに、『左手なら、いくらでもくれてやると』と続けた。
「リン、私は大丈夫だから。やるわよ」
心の中で、リンの不安な鳴き声でも聞いたのか。
美依はリンに言った。
しかし美依が次の発射に備えて構えると、またも刃が飛んできて、交わすことになる。
これでも撃つことができない。
「あいつ、私のスコープレンズの反射を見てる!?」
「それじゃあどうすれば・・・・」
「あの羽の攻撃さえどうにかなれば」
そうこうしてる間も、何度も攻撃をされ続け、最終的には交わすことしかできなくなっていた。
「しつこいわね」
そう言いながらも、傷を負った左腕を気にしているようにちらちらとたまに見ていうる。
そんな彼女をみていると、胸が苦しい。
俺は、またなにもできずい美依に怪我を負わせた。
この力だって、美依を危険から守るために得た力なのに。
”俺にもっと力があれば!!”
ドクンッと、胸が苦しくなる。
「っうっぐぅ・・・・」
俺は咄嗟に、胸を抑えてその場にしゃがむ。
「ちょっ、ちょっとどうしたの!?」
美依の声が小さく聞こえる。
目の焦点が合わない。
「春? ねぇ春!」
意識が遠くなる感じ――――――
「ミスト! 不死鳥と高さを合わせてゆっくり飛べ!!」
強くミストに念じてやると、ゆうことを聞いた。
「春? 大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫だ。それより美依、狙え」
「でもこのままじゃ、またさっきと同じじゃない!」
「いいから狙え!」
俺が強く言うと、少し驚いたように、美依が反応したが、すぐに標準を定めるため、横になった。
さすが美依、切り返しが早い。
「きたわ!」
美依が告げると、不死鳥が刃を展開させていた。
「ねぇどうする気なの?!」
俺の方を見る美依。
「いいから狙ってろ!」
俺はデュランをくるくるっと四回ほど回したあと、片手で構え、そいつに銃口を向ける。
「あなたの銃はあたらな――――」
「いいから狙え」
「は、はい・・・・」
美依はそれ以上はなにも聞かなかった。
そしてやつは、俺たちに向かって刃を投げつける。
「距離は――、落下は――、速さは――、よし。俺が俺を打ち落とす。美依は攻撃が止んだ瞬間に撃て!」
「わ、わかったわ!」
「いくぞデュラン!」
俺は飛んでくる刃とかした羽を、一発一枚で落とす。
その横では美依が何発も撃ち込むタイミングくを待っている。
「―――撃て!」
「ウォーターバレット!!」
合図と同時に、身寄りは放った。
美依の弾丸が命中すると、不死鳥は雄たけびを上げ、効果は十分のようだ。
「うぐっ・・・」
急な頭痛が、頭に走った。
視界が霞み、意識が遠くなる感覚が襲う。
結局、意識は遠のき――
「美依?」
「ちょっと本当に大丈夫?」
美依がいつの間にか俺に駆け寄ってきていて、俺の身体を支えてくれていた。
その表情は不安そうだ。
「大丈夫。ちょっと目まいがしただけだから、それよりあいつは?」
「えっ。わからないの? 春が羽を撃ち落としてくれて、私があの鳥に直接攻撃を当てたんじゃない」
俺は一瞬何のことかわからなかったが、なんとなくそんな記憶がある気がする。
「あ、あぁ。そうだったな」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だって! それよりあいつを倒そう。まだ倒しきれてないんだろ?」
そういって俺は美依の肩をポンッと叩いて振り向く。
その視線の先には、傷を修復していいるあいつがいる。
「まだ撃てるか?」
「まだ行けるわ」
そういって、美依はリンを構える。
しかし、スコープを覗いた美依が、小さく驚きの声を上げた。
「え・・・?」
「どうした?」
「ありえない・・・・・・」
「どうしたんだよ!」
美依は驚いたまま、何も言おうとしない。
「そんな、そんなはず」
「おいっ!」
「あっ・・・・あ、ごめん。あれ、見てちょうだい」
俺は言われるがまま、彼女が指さす方向を見ると、あの幻獣が、足元から粒子となって消え始めていた。
「倒したのか?!」
俺のその質問に、美依は首を左右に振った。
「違うわ。あれは誰かがあの人工幻獣を、自分のパートナーにしたってことよ」
美依は静かに言った。
それが意味すもの。
それはつまり、この場に俺たち以外の幻獣使いがいるってこと。
それも、それなり強力な幻獣使いが――。
、
「と、とりあえず今はこのまま逃げましょう。誰かの手に渡ったなら、これ以上暴れることもないわ」
「でもそいつが悪用するかもしれないだろ」
「だとしても、私たちじゃ、どうすることもできないわ」
その言葉に、俺は何も返せなかった。
「このことは母さんたちに報告するわ」
そうして、俺たちは、何とか無事に帰ることができた。