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幻獣使いの運命  作者: 蒼空
幻獣使いと幻獣
4/34

合宿

「合宿?」

「そ、春のそんなハ・・」

「あ!絶対いまそんなハンドガンって言った!絶対言った!」

「ゴホンゴホン、春のハンドガンでも前線で私の援護をできるよにね」

もういやだ・・。

やめたい。

「あのさ、するつもりはないけどさ、辞めるにはどうすんの?」

「・・やめたら許さない・・」

何故か怒ったように睨む美依。

何か勘にさわったのか。

「わ、わかった、わかったから睨まないでくれ」

「合宿はいまから行くよ」

「いまから!?、いま夜だぞ?」

こんな星空の綺麗な夜にどこにいこうと?。

だが俺は、すぐにわかることに。


─────────────


「お、おいマジか・・?本当にここから飛び降りるのか?」

「正確には降下ね」

今俺は、森林の山奥の空にいる。

何故かって?それは隣の人がこんな場所を選んだあげく航空機はもったいないと、家が所有してる、飛行幻獣を借りたせいだ。

「いややっぱ普通に降りてさぁ~」

「あれこれ言わずにさっさと降りる!」

「っ!?」

あろうことか!無理矢理俺の背中を蹴った美依。

俺は森林へと命綱なしパラシュートなしのスカイダイビング!

もう、なんなんだ俺の人生・・。

「死ぬー!」

「合図したら幻獣だして!、いくよー!」

「ちっ、ちょっと!まてー!」

「今! さぁおいで、リン!」

呼び掛けに応じ、主をすでに乗せた状態で召喚されたリン。

一方おれは・・

「こ、こい!デュラン!」

呼び掛けに応じたデュラン、リン同様、俺をすでに乗せた状態で召喚され・・・・・・なかった。

「ってお前どこにでてきてんだよーーー!!!」

あろうことか、美夜理の方に出てきたデュラン。

「ちょっとまて!、俺どうなる?!」

「頑張って!」

そんなこと笑顔で言われてもどうしようもないんですけど?!

「このバカ幻獣ーー!!!!」

俺は一人と二匹よりも先に森林に落ちた。


─────────────


「おーい、春ー、生きてるー?」

「プハッ、死ぬかと思ったぞ!」

「生きててよかったね?」

もしも下が深い川出なければ死んでたぞ?、いやむしろあの高度で、いくら水面でもよく生きてたな。

もし地面だったら今ごろ叩き潰されて挽き肉だぞ?!

俺をこんなめに合わせた張本人を見ると、リンと水浴びをしてる。

「ここの水温は夏冬適温でね、寒くなくて、気持ちいいんだよ」

「へぇ~」

「で、どお?、うまくやっていけそう?」

「まだ幻獣使いって実感はないけど、やっていける気がするよ」

まだ日が浅くて、今までと同じ生活が待ってるんじゃないかって思ってるけど、デュラン達を見てると、まるで漫画の世界だな。

「ちがう、デュランとだよ!」

「あぁ、デュランとか・・正直どうかな・・・・でも絶対にてなづけるぞ!最低でもお手ができるくらいまで!」

「お手は・・するのかな?」

絶対お手させてやる!

「さぁ~てと・・。」

美夜理はいきなり服を脱ぎだした。

「え?」

俺はとっさに  顔をそむけた

「こっち・・見てもいいよ」

「わかった・・」

俺は後ろを振り返る。

「おぉ!」

そこには、水色の水着姿の美夜理。

「可愛いな」

「ふぇ!?」

「いやほんとだぞ・・・でもなんで水着?」

「それは、ほら、デュランとリンがあんなにイチャイチャしてるの、みたら・・」

「あれイチャイチャだったのか?、それにまだあって数週間、そりゃないだろ」

「で、でも!・・そろそろ私も・・その・・イチャ...イ....チャしたいな~・・なんてさ・・」

最後ら変がよく聴こえなかった。

イチャがなんちゃら

「ん?、わるい、聞こえなかった」

「べ、別になんでもない!」

「ちょっ、なんで怒るんだよ?」

美依はそっぽを向いてデュランの方に行ってしまう。

「あ、そうそう、夕飯は自給自足だから、頑張ってとらないと夕飯ないよー!」

っと意地悪な笑みを見せてリンにまたがってどこかにいく。

「自給自足・・こいつと?、はぁ~」

デュランとの狩り・・無理そうだ。

俺がため息をついていると、デュランは勝手にどこかへいってしまった。

しかたなく、俺は一人歩いてこの辺を散策することにした。


─────────────


食料求め、30分ほど歩いた近場に、遺跡らしき石造りの建造物が見えた。

「古いな・・ん?これ・・」

とある石絵に目がつくと、後ろから声が聞こえる。

「それは人と幻獣が初めて契約をした日の様子、その隣にある石板が人と幻獣が戦闘している様子」

入り口の方から少女の声がした。

俺は反射で振り返る。

「幻獣にまつわる石絵なのか?」

不思議と警戒心はなく話してしまう。

「正しくは、幻獣と人の歴史、今から2150年前に作られた遺跡と石絵」

「そんな昔から幻獣はいたのか・・それに、君は・・」


「私?、さぁ誰でしょうね、それは私もわからない・・でも名前はわかる、私は谷代魔衣やしろまい、あなたは?」

「俺は咲原春」

「咲原・・春・・いい名前ね」

この少女、不思議だ・・。

これは俺の勘に過ぎないが、人って感じとは思えない・・。

でも人の姿をしている、何て言ったらいいのだろう。

人だけれど人じゃないみたいな・・。

とにかく人とは別のなにか見たいな感じ。

「迷子なのか?」

「迷子?・・えぇ、そうね、自分で自分を探して迷子になってるわね・・」

何いってるかさっぱりわからない・・・・

「お前は、人間とは違う何かなのか?」

「そう見える?・・じゃあそうなのかもしれないわね」

「ねぇ春、私と友達にならない?」

「別に構わないけど、どうしてだ?」

不思議なやつだ、急に友達になってくれなんてな

「あなたといれば、自分を見つけ出せる気がするの・・」

「そうか、よろしく、魔衣」

なぜ、こうも自然に話せるのか、普通は警戒心を持つべきはずなのに。

「それじゃあ、私は行くわ・・また近いうちに会えるわ、春」

「あ!待てそっちは崖だ!」

俺は少女に声をかけ近寄ろうとすると・・。

突如突風と土煙で目をそむけてしまった。

「っ!・・・・おい!ってあれ?」

俺が出口を見ると、そこに少女はいない。

落ちたにしてはそれらしき跡もないし辺りを探しても見当たらない。

本当に不思議な少女だった。


でも、また近いうちに会う・・そんな気がする。

彼女も言っていた・・「また近いうちに会えるわ、春」


「また会う・・か・・」

っとそこで、俺は重大なことに気がつく。


「あぁ!夕飯捕まえてねぇ!!」

外を見るともう夕方。

日が沈みかけていた。


─────────────


「もう!、明日はあげないからね!」

「わるいわるい、遺跡見てたらら日が暮れてさ」

俺は今日の遺跡について話しておこうと思った。

あ、それと、恥ずかしながら今日の夕飯は美夜理の捕まえてきたシカと魚をもらった。

「遺跡?」

「そう、幻獣と人の歴史の遺跡でさ・・・・あ!、そうだ、そこで今日、女の子がいたんだよ!、同い年くらいのさ」

「そんなはずないよ、ここは私達以外今はいないはすだし、一般市民は立ち入り禁止の場所だよ?」

「でも本当に見たんだ」

俺はその時の状況、思ったことをすべて話した。

「人とは違うなにか・・・」

「まさか幻獣じゃぁないよな、あんな可愛い子がさ」

「へぇ~そんなに可愛かったんだ~へぇ~・・」

突然笑顔を見せて美依がこちらをみる。

あきらかに目が笑ってない。

こ、怖い、怖すぎる!

「お、怒るな、別にやましいことはないから!」

「ならいいんだけどっ」

はぁよかった。

それにしても、あの少女、谷代魔衣はいったいなんだったのか。

それは後に分かることになる


____________


次の日の朝、美依に叩き起こされて目が覚めた。

なんとも気分の乗らない朝だ。

昨日の夜はテントの中で寝た。おかげで、固い地面で腰が痛いし、美依に布団取られ、寒くて眠れなかった。

「今日もいい天気ね!」

「山の中だからな・・・」

「気分が上がるね?」

「よく寝てたからな・・・」

「どうしたの?、不機嫌だね?」

誰かさんに布団取られて寝れなかったからな!

「それじゃあ、練習しましょうか、今日てっとりばやく、撃って的に当てるだけ?かな」

「なんで美依が疑問系なんだ?、しかも今日はって、いつまでいるきだよ」

「あと二日くらい」

こんなとこであと二日?、冗談じゃない、気が狂いそうだ。

「悪いが今すぐ帰らせて・・・」

「っと、撃つよ?」

背中に固い筒状の物を押し当てられる。

うん、それあれだよね?、てか撃つ気まんまんだよね?

むしろ撃ちたいんだよね?

「わ、わかった、頼むからそれを離して(・・・)くれ」

戦死ならともかく、こんな死にかたは、ただの笑い話じゃないか、それだかは嫌だ。


とりあえず隙あらばサボる!!


「ハナセッテ・・・・ブッパナセってこと?」

この人笑顔振り撒きながら何言ってるの? 

絶っ対意味分かって言ってるし。

「冗談でしょ?教官どの・・・」

「うん!、冗談」

ほんっっと、気が狂いそうだ。

「っで、冗談はさておき、的ってどれだよ」

「その辺に設置または動いてるロボット」

その辺?ってことは美夜理が離れる。

サボれる!

「んじゃま、とりあえずやってくる」

俺は背中を向け走ってその場から離れようとした、すると後ろからまたも脅しのような冗談が浴びせられる。

「あ、そうそう、相手も撃ってくるし、私も高台から監視してるから、サボったら頭、ニアミスさせるから、ミスって直撃しないように頑張ってね」

「お、おう、誰がサボるかよ」

俺はダッシュでその場から逃げた。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


さて驚異から逃れた俺は、その驚異の監視のもと、的当てゲーム的なものをやるわけだ。

「しっかし、的なんてどこにあるんだよ」

とりあえず適当に森のなかを歩いてはいるが、それらしき物は見当たらない。

「ほんとに監視してんのかな?」

俺は試しに木の下で寝ることにした。

「寝よっかなぁ・・・・・っ!?」

横になる瞬間、頭の・・・いや耳の横を何か通る。

耳に横切った物の風が当たる。

後ろを向き、木を見ると、そこには明らかに殺意の込められた、ライフルの弾が・・・・。

「寝たら撃つって言ったでしょ?」

出発前に腰につけた無線機から美依の声が聞こえる。

声は笑っているが、きっと顔は笑っていないだろう。

「す、すまん、冗談だ、冗談・・・」

手を挙げ木から離れ、しぶしぶ的を求めて森を歩いて行くことにした。

すると足に何か引っ掛かり、プチッとちぎれる感覚が走る。

「んだこれ?」

俺はちぎれた何かが、透明の細いヒモ状の物だと認識した。

すると隣の茂みがガサガサと揺れる。

俺は察した。


これってあれか? よくある・・・・・」?

「まっさかな・・・ハハハ、ここは現実・・・・そんなはず」

ガサガサ音を鳴らしていた茂みがいっそう大きな音をたて、謎の黒い影が姿を表す。

「まじかよ」

体長2メートル近くある巨大な二足歩行のロボット(?)が表れた。

よく見ると頭に的がある。

「まさか、あれを狙えと?」

俺がロボットの姿をまじまじと見ていると、ロボットは間接をきしませながら左腕を動かし、いきなり撃ってきた。

「ちょっ、不意打ちかよ!!」

俺はとっさに避けて直撃はまぬがれたものの。

当たっていたら死んでいた。

「しかたねぇ、成功するかどうか知らねぇけど、頼む!」

俺は幻獣を召喚するスペルを唱える。

すると、人差し指に身に付けた指輪が光、その光が獣の姿をかたどる。

光が収まると、相獣あいじゅうのデュランが召喚された。

「デュラン、反撃だ!」

俺はデュランに攻撃するように指示をする。

するとデュランはロボット方角に向けて走りだし、飛びかかった。



その後ろにいる鹿に・・・。


「お前なぁ~」

俺が相棒に対してあきれていると、無線から笑い声が聞こえた。

「笑わなくったっていいだろ!」

「だって・・笑えるじゃない」

といってまた笑い出す。

すっごいバカにされてる気分だ。

俺がバカにされてると、忘れかけてたロボットが、間接をきしませながらまた撃ち始める。

「マジか、こっち武器なんてないぞ!」

デュランがやる気のない今、俺に武器などなく、どうしようもできず、とっさに茂みに隠れるしかない。

「おい美依、俺武器なんてないんだけど?!」

「ドンマイ!」

一言告げて、無線を切られた。

絶望的な状況で、ひたすら考えた。

この状況を打破できる戦闘方をさがさないと・・・すると一つ気がかりな事に気が付いた。

なぜ間接がきしんでいたのか。

否、答えは一つ、長く使っていて、ろくにメンテナンスされていないからだ。

きっとあのロボットは新しい幻獣使いが来るごとに使われ、そのまま放置なのだろう。

ならば狙う箇所は一つ。間接にある隙間、そこになにか挟み込めば、左腕を破壊できるはず。



「あれ?、春どこにいったのかな?」

まさか私としたことが、見失うとは、あたりをくまさなく探していると。

何かを持って全力で走ってる春がスコープに映る。



「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

ロボットの後ろから、全力で走って、隙間に石をはめこんでやれば破壊できる。

失敗はできない、したら死ぬ。

こんなことで死ねない、こんなとこで手こずってたら、美依も、誰も守れない。

俺はロボットに向かって飛び、石を持った右手を間接に向かって伸ばす。

「とどけぇぇぇぇ!!」

石をはめる瞬間、まるで時間が止まったかのようにゆっくりになる。

そのおかげで、正確に、しっかりとはめこむことができた。

でもこれで終わりじゃない、たとえはめこんだとしても、うでを壊さなければならない。

そこで俺は、さっきの茂みの近くにあったツルを使い、左腕に巻き付け、木に一週回してから、ロボットの後ろ側ほ全力で引っ張る。

左腕は逆方向に曲がり、腕は破壊された。

さらに不意をつかれたこともあり、ロボットはあっさりと倒れた。

俺はロボットが立ち上がる前に、ロボットが持っていたライフル銃を奪い、乱射した。

「どうだ?」

銃の弾が切れ、煙で視界がわるくなる。

俺はロボットが壊れてる事を祈る。

煙が晴れ、ロボットは倒れたまま。立ち上がらず、俺は見に行く。

「っはぁ~、疲れた。」

俺はその場に座り込む。

なんとかロボットの的に弾が命中していて助かった。

もし作戦が失敗していたら、確実に今頃蜂の巣だっただろう。

俺が疲れて座り込んでいると。

「ちょっとなに休んでるの?、まだあるんだから、早くしなさいよ」

「了~解」

こんなのがあと何回もあるのか.......俺は生きて帰れるのだろうか。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


結果、その後もデュランは役に立たず、最終的に俺は美依の援護が合って、やっと終えることができた。

気がつけばもう夜だ。

美依から帰るよう指示が出された。

帰り道は美依がライトを照らしているから、それを目印にして帰る。

本当ならデュランに乗ってすぐに帰れるが、言うことを聞かないデュランは俺と距離を置いてついてきている。

「まぁ、どっか行かないならまだましか」

先の見えない帰り道を、ライトを目指し歩いていると、急に頭上の空を、大量の粒子が被う。

それらの粒子は一ヶ所に集まり、なにかを形成していく。

「なんだ....あれ?」

デュランがそれに威嚇するように唸る。

「おい、どうした?」

「今すぐこっちに来て!」

無線からは、焦る美依の声が聞こえる。

いったいあれがなんだと言うのか。

「あれ、なんなんだよ?」

「あれは、人工幻獣よ!」

人工、つまり人に作られた幻獣?

でもなぜそんな物が今?

俺が再び無線で美依に聞く前に、美依との無線は切れた。


幻獣が物凄い突風を起こし、無線が飛ばされた。


「この形....この前の.....不死鳥?」

あの強かった鳥が、また姿を現した。

倒してなかったのか?

「あん時より、デカイ!?」

不死鳥は、前に会ったときより、二倍大きくなっている。

こいつはあの時のやつじゃない!

「とにかく、合流しねぇと」

俺は美依の場所まで走ろうとした。

だがしかし、一匹幻獣に向かって走り出していく奴がいた。

「デュラン、無理だ退くぞ!」

俺はデュランに向かって叫ぶ。そもそも言うことを聞かないあいつが、帰ることなくそのまま走っていく。

まるで、「逃げるなら勝手に逃げろ」と、言っているように。

「お前だけ行かすかよ!」

俺もデュランと共に走る。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


デュランと春が自分とは逆の方向に向かっていくのが見えた美依は、必死に無線で伝えようとする。

「今の春じゃだめ、戻って!!」

今のじゃ、勝てるわけない。

私ですら、人工幻獣なんて勝てる分けないのに。


美依は二人に近い高台に向かって走っていく。

もしも春がデュランを幻武に変えることができれば、その援護をしなければならない。

「もうあとには退けない」

あの時と同じ過ちをおかさないためにも。

最悪の事態になったら。

「私が春とデュランを撃つ....」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


人工幻獣の近くまできた俺は、デュランと合流する。

いまなら、デュランを手なずけられる気がする。

「さあ、ぶっぱなすぞデュラン、力、貸してくれ!」

俺はデュランに手をかざす、あの時みた、美夜理のように。

俺の思いに、初めて答えてくれたデュランは、光の粒子となり、小さくなって俺の手に拳銃として再度召喚された。

「さぁやるぞ、デュラン!」

俺は右手の拳銃を構えた。


______________________



兄が死んだ・・それは平凡な生活の中で突然起こった悲劇。 兄は幻獣との戦闘中に、自らが扱う幻獣に殺された。

人と幻獣はけっして対峙しないとは限らない。 人がパートナーを殺す事があれば、兄の用にその逆もある。 ただし後者の場合何らかの理由がある。

だいたいの理由が幻獣があるじにたいして自由を求めた場合によるもの。

そして上記とは別に、もう一つある。 それは幻獣使いと幻獣が一体化すること・・これは人口幻獣の発生させる粒子に触れすぎるとおこる現象で、そうなってしまったら・・殺すしかない。

兄の死以来その幻獣が憎い、そして最も殺したい標的ターゲットでもあった。

高校をやめて、春に秘密にしてまで・・・全てを捨てて幻獣使いになり、戦闘することで、いつか兄を殺した幻獣が目の前に出てくるのではないかと、私は考えた。

そして誓った、二度と同じことは繰り返させないと・・・。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

戦闘開始から30分近くたった。 天気は雨が強く降り注ぎ、薄い霧で視界が悪い。

「戦闘開始から30分・・このままじゃ・・絶対に全滅する」

雨で身体を濡らせば寒さで

幻獣を従えているからといって、身体能力が上がる訳じゃない。 ただ幻獣と言う武器を得ただけ。 

だから死ぬときは簡単に死ぬ。

幻獣のタイプは鳥型、人工的に作られた人口幻獣。 

人口幻獣は五年前、最後の災害(ラストブレイク)の最終戦争の際に人間によって作られ、幻獣使いとして適性のない者も契約することができる・・・まがい物、すべて破棄されたはずの忘れ去られた生物兵器。

五年前、多くの犠牲と引き換えに人類が勝つことができたのは、通常の幻獣の数倍のステータスがある人工幻獣があったからこそ。 しかしここ数年前から、破棄されたはずの人口幻獣の目撃が多く、遭遇した際は速やかに逃げるように言われている。

春は何も知らずに戦闘を続けているが状況は逃げるので手一杯。 体力も尽きかけてるはず。


______________________________________



「なんだよこいつ、全然攻撃が効いてない・・」

30分も逃げ続け、さすがに疲れてくる。 隙があれば撃ち込んでいるが、かすり傷程度しか効果がない。

時折美美依からの援護射撃が来て注意をひきつけてくれてる。

鳥型の幻獣の近くにある木に隠れて休憩そていると、ポケットにしまってある携帯が鳴る。 俺は慌てて取り出し電話にでる。

電話の相手は美夜理だった。

『春? お願いだから言うことを聞いて・・このままじゃ全滅は間違いないの、だから今のうちに逃げよう?』

逃げる・・? ここで逃げたらいつかまたこいつと戦うことになる・・なら今倒したい。 美依に負担はかけたくない。

ここで逃げたらダメな気がする。いやな予感が・・する。 それにデュランが逃げることを選ばない。

「だめだ、今ここで倒す・・・」

『なんで? そこまで焦らなくてもいいと思うよ?』

「・・・なら美依はそこで見ていてくれ」

俺は携帯を顔から離し、通話終了を押そうとしたが、急に頭上が明るくなり、空を見上げる。 暗い空を明るく照らす一本の黄色光に線。 その線は一瞬で消えた。

これが戦闘でなければ綺麗の一言で終わるだろう。 しかし黄色の線が放射された方角、おおよその高さから俺は背筋を凍る感覚を抱いた。

「美依・・?」

間違いない、放射が直撃した場所は美依がいた崖の上・・・。 俺は手に持っていた携帯に向かって叫ぶ。 今はただ、彼女の声を聴きたい。

俺は走り、森が開けた場所にでると、美夜理のいた場所みた・・。 それは絶望といっていい。 崖は地面をえぐるようにして消滅していて、さらに崖が崩れ始めていた。















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