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幻獣使いの運命  作者: 蒼空
幻獣使いと幻獣
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帰還とパートナー

八月十八日 書き直しました。

 目が覚ませると、それはいつも通りの俺の部屋だった。

 どうしてここにいるのか、あれは夢で、本当は何もなかったんじゃないのか、そう願ったけど、夜中の事を思い出そうとすると、狼に触れる前後の記憶が曖昧だし、無理に思い出そうとすると頭が痛い。それにこの体の傷は、紛れもなく夢じゃない、事実だ。


「誰が俺たちをここまで運んできたんだ・・?」


 俺が今一番疑問に思っている事を考えてると、部屋のドアが開き誰かが入ってくる。

 ノックくらいはして欲しいもんだ。


「おっ、起きたか、気分はどうだ?」


 入ってきたのは、中年のガタイの良いおっさんだった。声とかかなり渋いな。


「誰だ? あんた」

「ん。あぁ悪い、初対面だったな。俺は西宮甲真、歳は行ってるが、一様幻獣使いだ」


 部屋に入ってきたおっさんは、名を名乗って幻獣使いと言ってきた。幻獣使い。言葉から察するに、幻獣を使う人間って事でいいんだろうか。


「……幻獣使いになって長いんだよな? なら俺に教えてくれないか?」

「それはできない。起きたら美依に教えてもらえ。……おりゃ歴史は苦手でな。二人でごゆっくり」


 そう言って足早に部屋から出ていった。

 てか軽い乗りでめんどくさいこと全部、重症者の美依に丸投げしていきやがった。


「ん? 待てよ、今二人って……」


俺はベッドが普段よりも狭い事に気づく。


「もしかして!」


 バサッと布団を剥ぐ。するとそこには、丸くなって包帯をところどころに巻いている美依が寝ていた。


「な、なんで一緒のベッドに寝てるんだよ!」


 ありえないだろ普通! まだそこまで関係進展してないから!


「って思ったところで、なにかあったわけじゃないし。とりあえず腹減ったな……」


 時計を見ると、すでに昼過ぎだった事に気づき、一階の冷蔵庫に何か食べ物がないか見に行った。




 朝食兼昼食を食べ終えた俺は、部屋に戻ってくる。

 幸い食べるものは母が用意してくれていた。

 俺は部屋のドアを開けて入る。


「いやあ、腹も膨れたし、もう一眠りする……」

「えっ?」


 俺は目の前の光景に、独り言を途中で止める。

 目の前の人物も、予想外な来訪者に硬直している。



「きっ……ちょ、ちょっと部屋に入る前はノックくらいしてよ!」


 ベッドの腕衣服を全て脱いで、タオルで汗を服彼女がそこにいた。

 普通ならここで悲鳴が上がるとこだが、俺達の関係では、そんな取り乱したりしない。

 まあ、今美依が悲鳴を上げかけて堪えたのは、聞こえなかったことにしておこう。


「わ、悪い! 外で待ってるから、早く服を着てくれ!」

 

 俺は慌てて背中を向けてドアノブへと手を伸ばす。


「い、いいわよ別に、そんな、その、他人じゃないんだし。気にしないから」


 思いがけない言葉が帰ってきて俺は少し嬉しくて振り返る。


「そ、そうか? じゃあ中で―――」

「でも後ろは向いてて!!」


 振り返った俺の顔面に、弾丸の如く飛んできた枕が命中した。




「もういいわよ」

「わかった。枕飛んで来ないよな?」


 念のため怖いから聞いておこう。


「来ないわよっ!」


 ならよかった。

 俺は振り返り、ベッドの上にいる美依を見る。

 俺はベッドの横に机の椅子を持ってきて座っていて、美依はベッドに座っている。


「傷、痛むか?」

「別に、大した事ないわ。どうせ掠り傷程度だもの」


 美依は包帯を見せて、どうって事ないことを示した。


「……なあ美依、俺に全てを教えてくれよ。これからの事とか、この力の使い方とか」

「覚悟はある? 春が考えているよりも過酷な人生になるわよ?」


 俺は一呼吸置いてから、頷く。

 それを見た美依は、その全てとは言わないが、順を追って話してくれた。




 あれから数週間後、美依の重症だった怪我も癒えて、もう戦線復帰らしい。

 同時に俺も幻獣使いになるべく、まずは幻獣を使役する為の儀式とやらでパートナーを召喚するらしい。


「こ、こうか?」

「そうそう、台詞は昨日教えた通りだからね」

「お、おう」


 俺は庭で祈るような格好をして、その足元には俺を囲うようにして、二重でできた、古代語やらで書かれた漫画さながらの魔方陣のようなものが、木の棒で地面に書かれている。


「いくよ、春」

「おう」


 美依は自分の手首をナイフで切り、血を数滴、俺のいる魔法陣に垂らす。

 そして協会で懺悔するかのように、まずは美依が台詞を言う。


「我、汝を神話の荒れ狂う獣を従えし者へと生まれ変わるのを認める。獣達を正しき道へ引き連れよ」

 

 そして次が俺の台詞。


「我、神話の荒れ狂う獣を従えし者、汝、呼び掛けに答え、その姿を見せよ」


 台詞が終わると、美依が魔方陣から離れて、魔方陣が発光し始める。

 眩しい光が起こり、その光が次第に形を持ち始める。

 頭部、尻尾、立った耳、四本足の四足歩行。まるで大きな犬のような獣が写る。


「うん。成功だね!」

「お、おう」


 目を開けると、そこには大きな白色の幻獣がいた。

 体には、ブルーのラインが入っていて、なんとも凛々しくかっこいい。

 

「おめでとう、私と同じ狼神種だね」

「こいつが、俺の……」

 

 俺は感動に浸り、パートナーを撫でようと手をだす。

―――しかし


「いってぇ!」

 

 狼神は俺の手を噛んだ。それを見て横では、美依がお腹を抱えて大笑いしてる。


「こ、こいつ、飼い主にむかってかんだぞ!?」

「最初はそんなものだよ。狼神種はプライドが高くて、最初は言うこと聞いてくれないけど、頑張れば私のリン見たく忠実な信頼できる子に育つから」

 

 本当に、コイツが? ああなるのか?

 俺は思わずなんどか美依の幻獣と俺の幻獣を見比べる。


「そうそう。名前はどうするの?」

「名前? そうだな~、不滅の刃を持つ神話の剣。デュランダルから取って……デュランかな」


 どうやら名前だけは気に入ったらしく、遠吠えをするデュラン。


「次に、その子がどんな武器になるかやってみて。やり方は、名前を読んで願う」

「来い、デュラン!」


 デュランは光の粒子になり俺の手に何らかの形になって生まれ変わった。

 俺はきっと、大切なものを守るに相応しく、それでいて、名前に負けないほど神々しい剣になるのかなとか思ってた。


「はい?」

「っ!」


 俺は仰天、美依はビックリ。俺の武器、つまり幻武は。

―――ハンドガン、拳銃だった。


「マ、マジで?」

「ハンドガンか~」


 え? ハンドガン? 本気で? あんな怪物相手だぞ? ハンドガンで行けるのか?

 名前由来全く関係ないし。なんで先に名前つけさせるんだよ。しかも剣でもナイフでも刀でもないし。

 うわー、名前決めて武器出した時にちょっとドヤった自分が恥ずかしい……。


「ま、まぁ、弱い拳銃ってことは! 漫画とかでよくあるお決まりってやつで、滅多にない幻武で、実はすごい力とか、めちゃくちゃ強いとかさ!」


 きっと、これには意味がある! 何か意味があるに違いない!


「んー。ごめんね。がっかりさせるようだけど、全く珍しくないし、対幻獣用のハンドガンとそんな戦闘能力変わらないかな。だから普通に弱いよ。 まぁ使い方しだいだとまぁまぁ強くなったりは……って春大丈夫?」

「お、終わった……」


 パートナーとの関係はめちゃくちゃ。幻武は最弱のハンドガン。

 俺この先どうすればいいの?

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