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迷宮

薄暗い通路をレイン達は歩いている

通路と言っても大人が5人並んで歩ける幅がある

2ブロック程の幅だ

光も差さない迷宮だが、ほのかに明るい、よく見ると壁が薄っすら青白く光っている

それだけでは3ブロック先もみえないので、みんなランタンを腰にぶら下げている


レイン達は今、2層にいる

1層はレインやミリアの練習相手にもならなかったので早々と2層に降りてきたが苦戦するような魔物には出会っていない


「レイン、思ったより強くなってないか?」

「ガイアスに毎日鍛えられたからね、自分でも驚いてるよ」

「これなら2層もすんなり抜けて3層に行けるな」

そんな二人の会話を遮る様に目の前に大きな扉が現れた


「ここが2層の最後の部屋だ、通路にいたのとは格が違うから気を引き締めろレイン」

ガイアスが言うとレインは剣を抜きいつでも戦える態勢をとった

後ろで見ていたミリアにも緊張が伝わる


「大丈夫よ、ミリアは今は戦いを常に見て状況を把握して、自分のタイミングでいいからレイン達のサポートをして、私が援護するから」

フィーネが優しくミリアに言った

それを聞いたミリアは少し落ち着いたが、それでも緊張は完全にはきえなかった


「開けるぞ!」


即座に全員が部屋に入り、臨戦態勢を取る

迷宮の扉の先には魔物が待ち伏せしていることが多いのと、扉を開けた瞬間に襲ってくる事がある

レイン達はそれぞれ態勢を整えていたが、すぐに反応したのはミリアだった


「ワーウルフ2体、スケルトン2体です!スケルトンは私とフィーネさんで浄化しますので、ワーウルフをお願いします!」

的確な反応だった

レインとガイアスがワーウルフに立ちふさがりワーウルフの攻撃を盾で受け、中距離からマリルが弓矢で狙う

レインがワーウルフの攻撃を交わしたのと同時にミレーユが横から閃光の様な一撃をワーウルフの脇腹に入れるとワーウルフの姿は霧の様に消えた

すぐにガイアスの方を見ると、マリルが放った矢がワーウルフの肩に刺さりよろめく

すかさずガイアスがハンドアクスで強烈な一撃を頭に与えワーウルフは消えた


ミリア達を見ると、ブラハムがスケルトンの動きを止めている間にミリアとフィーネの浄化の祈りが通じ、スケルトンは灰になると同時に消えていった


「思った程、強く無かったわね」

ミレーユが周りを見渡しながらレインのところに歩き始めた時、ブラハムが叫ぶ


「何か来る!」


部屋の中央に突然、黒い球体が現れ、その球体が大きくなると中から腕が4本で山羊の様な顔をした生き物が現れた


「なっ!悪魔族が何故2層に現れる!」

「私に聞かれてもわからないわよ」

ガイアスが言った一言にミレーユは返答するとブラハムを見た

ブラハムもわからない素振りをする


ガイアスは現れた悪魔族と距離を計りつつ叫んだ

「レインはミリアを守れ、接近戦は俺とミーリアでやる、フィーネはレインとミリアに防御魔法をかけてくれ」

「なんで!俺もガイアス達と一緒に戦う!」

「馬鹿を言うな!こいつは本来なら8層以降に現れるやつだ、今のレインには無理だ、それに俺もミレーユも本気を出さないとやばいんだよ、レインをかばう余裕がない!」


レインとミリアは何が起きているのか理解出来ていなかった

ただガイアスや他のみんなの表情が今までと明らかに違う事は理解出来た

レインはガイアスの言葉と周りの緊張感から本能的に危険を感じてミリアを守る態勢をとった

フィーネが横で何か呪文を唱えると、レインとミリアは青白く光りだす


「あの悪魔は魔法が強力だからね、もし魔法で攻撃されてもある程度なら耐えれる」

フィーネが二人にそう言った


「ありがとうフィーネ」

フィーネはレインの言葉を聞くと笑顔で返してくれたが、すぐに緊張の顔に戻り続けて話はじめた


「あの悪魔はね、かなり厄介なのよ、ただいつもなら2、3体現れるのだけど、今回は1体で助かったわ、それでも安心は出来ない」

フィーネの緊張が伝わる

レインはわかっていた、本当ならそこまで緊張しなくてもいいが、今回は違う、自分とミリアという戦力にならないのが2人もいるのだ、明らかな戦力不足だと


「€3%+〆#^」

悪魔がつぶやくと頭上に火の玉が数個あらわれた

それもかなり大きい


「やばい!レイン、ミリア逃げろ!」

ガイアスが叫ぶ

悪魔はレイン達がいる方向に向き、呪文を完成させた

火の玉はかなり早い勢いでくる

レインはミリアを連れて逃げようとするが、ミリアが動かない


「ミリア!逃げるぞ!」

もう目の前に火の玉が迫っていた

まともにくらえば一溜まりもない

だがミリアがピクリともしない

じっと立っている、レインはミリアの前に立ち腕で顔を覆う


「レインー!ミリアー!」

ガイアスの悲痛の叫びがこだまする

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