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悟とは、出会った翌日、また公園で会った。

「悟くん!」

「綾ちゃん!」

そして二人でサッカーをした。


そのうち人数が増えていき、一年後には二十人ほとでサッカーをすることになる。二十人いると試合も出来てとても楽しかったことを記憶している。

そうこうするうちに私は小学校三年生になり、悟は小学校四年生になり、クラブ活動が始まった。

これを機に私はサッカー少女をやめ、普通に女の子と遊ぶようになった。

悟のことを意識し始めたのもこの頃だったように思う。


悟とは一緒に登校していたが、それもこの頃にストップした。


みんなが恋の話をするようになっても、私は悟のことは秘密にしておいた。なぜだかは未だにわからないけど……


悟はよくモテた。私の友人にも悟が好きという女の子がちらほらいるようになった。

だから余計に私は悟のことが好きだなんて思わないようにしてきた。


悟が中学に入ってしまってからのことはよくはわからなかったが、彼女がいる素振りを見せたことはなかった。

いっつも友達とバカやっているサッカーバカだった。


私もすぐに中学にあがり、また悟と一緒に登校する日々が続いた。


中学は私は私立の女子校にいっていたが、中学校の位置はすぐ近くだったため、一緒に登校していた。


そんなある日、思いきって聞いてみた。

「悟くんって好きな人とかいるの?」

悟はみるみるうちに赤くなっていき、

「そんなもん、いねーよ!!」

と答えてきたが、その様子からするといるに決まっていると思った。


その日から私は、自分を一生懸命にアピールすることにした。


好きな人が誰かはわからない。でも、負けたくない!!


それは高校になってからも続いた。

毎朝、他の女の子たちを尻目に悟を独占してきた。


高校に入ってからは、恋も勉強も頑張るぞ!と思っていたけど、結局悟にひっついてばかりいた。


私は悟が好きなんだ……


そう思えたのは、高校に入ってから、悟が告白されるシーンを目の当たりにしてしまってからだった。

それまでは、幼なじみだから、という理由だけぶら下げていたのだが、告白されるシーンを目の当たりにして、私の心は揺れた。

結局悟は、

「ごめんね。今そういうことに興味がないから。」

と言って断っていたのだが、

興味ない=彼女とか好きな人はいない、ととった私はさらに押した。


今考えると迷惑な行動だったと思う。

悟を独占することで優越感に浸っていた自分をひっぱたいてやりたい。だが、それすらもう過去のことだった。



私はそんな悟とのことを思い出して、御簾越しに咲いた菜の花を見ていた。

桃がこちらを向いて言った。

「どなたのことをお考えでしょうか?」

私は

「別に。」

とだけぶっきらぼうに答えて部屋の中へ戻ってきた。

「姫様は正直でいらっしゃるから、なにをお考えか、桃にはすぐわかりますよ。」

フフ、と桃は笑う。

「どなたか、昔の方を思い出しておいでだったのでしょう?」

「そう図星をつかれてもなぁ……」

と私は呟くと、

「昔好きだった人のことを思い出していたの。」

と正直に答えた。


女子はいつの時代にも恋バナが好きなものである。


桃にせがまれて、何人かの女房のまえで悟のことを話すことになってしまった。

みんな目を輝かせて聞いていた。

「サッカーとはどのようなものですの?」

「今で言うと蹴鞠のようなものかな。」

「まあ、蹴鞠……姫様も幼い頃にはそんなご経験もあられるのですね。」

思ったより食い付きがよく、思い出していたことの三倍は話をしたかなと思う。


時代変わっても、女性の本質は変わらないものだ。

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