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子どもは何人?

「兼平、お前結婚するの?!」

「相手はどこの誰?」

「いつから付き合ってたのさ?」

俺の周りは一瞬にして盛り上がった。

上司の上司も、

「ま、それなら仕方ないでしょう」

と納得をしてくれた。

周りからはまだ質問攻めだ。

「だから言いたくなかったのにー!!」



「それで?相手はどこの誰?」

「藤原彰悟様のところの百合姫」

「いつから付き合ってたの?」

「半年前かな」

周りがおぉーとどよめく。

「百合姫といえば相当な美人だと聞くけど?」

「美人だな。いや、可愛い……かな?最初は美人だなとは思っていたけど」

「なんだよ、のろけかよー!!」

周りがわっと笑い出す。

「それにしても、百合姫って言ったら、お前より年上じゃね?」

「年上彼女かよ、羨ましいー!!」

「年齢なんて、関係ないよ!」

俺が言うと、また周りがどっと湧く。

しばらくはこの調子で、誰も仕事をしていなかった。

上司の上司もにやけながら話を聞いていた。


そこに上司が戻ってきた。

「お前ら、何をしている!!仕事をせんか!」

慌てて皆仕事に戻った。

俺は、ホッと息をついた。





私はそんなこととはつゆしらず、綾と琴を合わせていた。

ときどきお腹へ話しかける綾を見ながら、なんだかいいな……と思っていた。

私も早く欲しいな、赤ちゃん……って、結婚の途中だというのに気が早いか!!

でも、いつかは私もこうなるんだよね……と考えていた。


今日の晩、兼平が来たら子どもは何人くらい欲しいか聞いてみよう。その望む通りになるかどうかはわからないけど、理想が合えばいいな……と思った。




夜になり、兼平がやって来た。

私はいつも通りに兼平を迎える。

兼平もおしゃれで、今日は萌黄色の重ねを着ていた。私と偶然お揃いだった。

そんな話をしながら床についた。



「ねぇ……兼平様。兼平様は子どもは何人くらい欲しいですか?」

と聞くと

「もう妻になるんだから、様、と敬語はいらないよ」

と、笑いながら言った。

「子ども……ねぇ。7、8人くらいかなぁ」

「そ、そんなに?!」

「そんなに……って、当然だろ?」

「年子だとしても一年に一人……二人……」

「あぁ、やっぱり厳しいか?2、3人は欲しいな」

「よかったぁ……七年も八年も妊婦続けられないもん!」

「ふふっ、そうだな」

ん……でも、うちのお母さんは8人兄弟の末っ子だったな……ってことは、7、8人もありってことかな……

「とにかく多いほうが嬉しいのね?」

「まぁ、俺も6人兄弟の末っ子だったからな。多い方が楽しいだろうな、とも思う」

「よーし!私、頑張っちゃう!!」

「まぁ、そう(あせ)るなって。授かり物なんだし、少なくても俺は気にしないからさ」

兼平はそう言うと優しく笑った。





牛車の音がまた聞こえた。

よかったね、百合……

私は感慨深い気持ちになって夜明けを迎えた。


お腹の子どもは昼夜問わず私のお腹を蹴って、そのたびにううん、っていう気分になった。

これだけ元気なんだもん。きっと男の子だよ。

跡継ぎだよ。


私はそう思ってお腹を擦った。



いや、男の子じゃなくて女の子でもいいな。私とお揃いの服を着せるの。まるでお人形みたいに可愛い子。

私はそこまで考えると、ふぅ、とため息をついた。

とっちにせよ、無事に生まれてくることだけが大事だ。そう思うと心が引き締まったような感じがした。


生まれてくるまで、お母さんしっかり頑張るからね。と、お腹の子どもに言い聞かせた。

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