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香澄と亜梨沙

掲載日:2026/10/25

連載中のラブコメ、「毎日アイツが気にかかる!」のプロローグストーリーです。

短いのでお試しにいかがですか〜


本編はこちら〜

https://ncode.syosetu.com/n3580mo/

4月の初旬、朝の高等学校の体育館。

入学生が整列し、これから入学式が始まろうとしていた。

私もその中の一人。

周囲には同じ中学だった娘の顔も幾つか見える。



「あ、あの娘じゃない? ほら、姉の⋯」

少し離れた場所で女子が隣の娘に囁いた。

多分、私には聞こえてないと思って話している。

でも残念、私はかなり耳が良い。

その後の“え、ヤバっ”も含めて聞こえてしまった。


「はあ、別に⋯関係無いんだけどな⋯」

独り呟く。

もうあんな反応は慣れっこだった。


私には異母弟が居る。

名前は須藤晴人《すどうはると》。

弟と言っても私は4ヶ月だけのお姉ちゃん。


ソイツは財閥の跡取りであり、勉強は常に学年トップ。

スポーツもそこそこ優秀、顔も美形と言っても文句は出ない程度には整っている。

つまりは中学時代から学年女子の王子様的な存在だった。


当然、交際を申し込もうとする女子も数多《あまた》居る訳だが、その際の目の上のたんこぶが私だった。


私からすれば、弟の交際に口を挟む気は無い。

けれど、弟にふられた女子達の間ではいつの間にか、私が交際にダメ出ししたから失敗した、と噂になっていた。


私としては全くの心外だったが、ふられた娘にしてみれば、そう他責して心を慰めないと納得できないのだろう。

そしてそれはこの学校でも続くはずだ。


「はあぁ」

私は小さく溜め息をついた。


と、私の隣に居た派手めな女子がコソコソと話しかけてきた。

「ねね、あなた、須藤香澄《すどうかすみ》?」

「⋯⋯」


既に校長先生の挨拶が始まっている。

私は前を向いて、無視していた。


「あれ、聞こえない? ⋯えとっ、須藤香澄さ〜ん!」

派手め女子は入学式中にも関わらず、大声で私に呼びかけた。


「ちょっと、入学式中だよ、静かにして!」

私も反射的に声に出して注意した。


一斉に周囲の目が私達に集まる。

「あ、ヤバ」

「あぅ」


もちろん壇上の校長先生も、私達を睨んでいる。


『そこの2名、 後で職員室に来なさいっ!』

マイクを通して、校長先生の怒号が体育館に響き渡った。


うう、入学初日に怒られてしまった。

それも、この娘のせい⋯。

私は派手め女子を睨んだ。


「あはは、ごめんね」

流石に学習したのか、彼女は小さな声で謝りながら頭を下げた。


この娘とは、もう関わり合いに成らない様にしよう。

そう決心した私だった。



が。

その決心は数分後には破られてしまった。


入学式が終わり、皆が体育館から教室に移動し始めた時だった。


「あのさ、さっきのどう言う意味?」

体育館のドアの前で派手め女子が一人の女生徒を引き留めていた。


あれはさっき私の事を噂していた娘⋯?

「え、何の話??」

戸惑う女生徒。


「ほら、香澄がヤバいとか」

「あなたには関係無いでしょ?」

「関係あるよ、叱られ仲間だもん」


⋯⋯は?

なにその概念。

私、被害者だったよね?


「ちょっと、勝手に仲間にしないで」

さすがに看過できず、2人に割って入った。


「あ、香澄!」

⋯いつの間にか、名前呼びされてる。


「私達、今日が初対面だよね」

「うん」

「お互いの事何も知らないのに、仲間はおかしいでしょう?」

「うーん、そうかな⋯」

「そう」

「棗亜梨沙《なつめありさ》」

彼女は自分の顔を指差す。


「?」

「私の名前」

「? それが?」

「これで知り合いでしょ?」

「名前、聞いただけだけど」

「仲間だよね?」

「いや、違う」

「えーーーー?!」


本当に驚いたらしく、目を丸くして派手女子改め亜梨沙は私を見た。


「名前知ってる娘は仲間でしょ?」

「んな事言ったらクラス全員仲間になっちゃうじゃない」

「クラス全員?」

「クラス名簿、貰ったでしょ?」

「んー、そうだっけ?」

亜梨沙はバツ悪そうに上方を見ながら言った。


「まさか覚えてないの?」

「覚えてる訳⋯まさか香澄は全員覚えてる⋯とか?」

「覚えなきゃ、話す時どうするのよ」

「うげっ!」


亜梨沙がカエルを潰した様な声を出した時だった。


「二人とも、教室行かないのか?」

一人の背の高い女生徒が私達に声をかけた。


「「え?」」

慌てて見渡すと、体育館には私達以外にはもう誰も居ない。


「あ、マズ」

「い、行こう」

慌てて私達は教室に向かって走り出した。


「私は皇尊《すめらぎみこと》」

教室までの途中、背の高い女生徒はそう名乗った。


「皇族関係の人?」

「あはは、よく言われるよ。ううん、普通の女子高生」

「私は⋯」

「須藤香澄、でしょ」

「知ってた?」

「もちろん。結構期待してる」

「? 何に?」

「いや、それは秘密だ」

「⋯⋯さっきは声かけてくれてありがと。危うくまた怒られる所だった」

「いいよ。良かったら私も仲間に入れて貰えない?」

「?」

「亜梨沙と須藤さんの」

「別に仲間に成った覚え、無いんだけどな⋯後で訂正しよう」

そう言いながら廊下を抜けた。



教室に着くと尊は私に笑いながら言った。

「それは、無理だと思うな」


「あ、香澄ーー! 席、ここだよーーっ!」

一足先に教室に着いていた亜梨沙は、私を見ると満面の笑顔で手を振った。


「メンタル、鋼鉄か⋯」

呆れながらも少し興味が湧いてきた。

まるで私とは正反対。

今までこんな娘見たことない。


「男癖以外は悪い奴じゃないんだ」

「⋯それ、最悪じゃない」

それを聞いて尊は苦笑した。


「どうしても嫌なら、そう伝えれば1週間位は遠慮してくれる」

「1週間経ったら?」

「多分、亜梨沙は忘れてる」

「厄介ね」

私は、払っても払っても足元にじゃれ付いてくるニャンコを思い浮かべた。


「2人は知り合い?」

「小学校以来の腐れ縁」

「それじゃ、私の方が仲間に入る形?」

「いや、私は叱られて無いから下っ端でいい」

「そんな物?」

「ああ」

「んー、じゃ、そうしよう」


「もう、大きい声出さないでよ、亜梨沙ーーー!」

私も教室に入りながら手を振った。


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

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ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

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