2.月日は流れ
今回も、2話目を読んでいただき、ありがとうございます。
いつものデロップ坊とメイドのルナのやりとりなどを、是非楽しんでいってください!
それから色々あって、10年後の自室にて。
「なあ、ルナ」
「なんでしょうか、ルシル様?」
僕は木椅子を深く座り直し、きしむ音が聴こえる最中、少し息を吸い込みルナと会話を続ける。
「その、【ルナコロニープロジェクト】の進捗は、どんな感じなの?」
「……進捗については、順調です」
僕の横に立ち、サラリと述べるルナに対し、僕は少し違和感を感じてしまう。
「そのルナのもの言い。なにか、問題があるんだろう?」
「良い質問ですよ、ルシル様」
ここいらは、相変わらずの上から目線のルナの言葉使い。
それにしても、最近心地よく感じるのは、何故だろうか?
不思議……だ。
「それは父君と同じ癖だからです。血は争えませんね?」
「ちょっとお。人の心を読まないでくれる⁉」
僕の顔は、おそらくトマトの如く真っ赤になっていたと思う。
が、今はそれどころじゃない。
「読んでいませんよ、エスパーじゃあるまいし。ただ、今までのルシル様の感情などの10年間の統計データを分析した結果、表情から理解できただけです。ご心配なさらずに……」
ルナはニコリと機械的に笑い、元気に親指を立ててますが……?
「ちょっとおおお⁈ もっと悪いじゃん! 人類と財団群の英知を結集した、揺るぎない科学的根拠じゃん!」
すっかり興奮した僕は、思わず椅子から勢いよく立ち上がってしまう。
というのも、【AI・T・M・P技術】を結集した根拠になるため、悲しいかな逃げ場がないからだ。
くっそ、こうなったら、さっさと本題に入ろう。そうしよう。
「そ、それはおいといてさ。何か問題があるんだろう?」
僕は大きなため息と共に、再び木椅子に腰かける。
この時気が付いたけど、昔はこの木椅子に座っている時、足が地に着かなかったんだよな。
まあ、月日の経過で、僕の成長と共に背丈が伸びたってことだろうけど。
そう、あれから僕は色々と猛勉強した結果、無事博士号を取得出来た。
ルシル財団の役に立つため、更にはルナと上手くやり取りする為に、AIや経済学を主に学んだんだよな。
「……はい」というルナの静かな返事で、僕はふと我に返る。
と、いけない、話の続きだったね。熟考すると意識が逸れるのが僕の悪いところだ。
ルナが申し訳なさそうにうつむいている感じ、結構重そうな問題であると僕は認識した。
「……いやらしい」
「……は?」
顔を赤らめ、訳の分からない言葉を吐く彼女に、僕は目をまん丸くしてしまう。
「勝手に、人の心を読まないでいただけますか? いやらしい……」
ルナは何故か目を潤ませ、顔を赤らめ、モジモジとしているが?
「お、お前が先に読んだのだろうがっ! 付き合いが長いから、なんとなく分かるだけじゃん!」
僕の魂の絶叫が、僕の個室に虚しく響き渡る。
「お前……? 呼び捨て、ですか……10年を経てやっとですか、そうですか……」
「あっ⁉」
僕は何故か嬉しそうに俯いているルナを見て、はっと我に返る。
し、しまったッ! ルナのやつ、ワザと僕をからかって呼び捨てさせる駆け引きを……⁉
てか、なんなんだ、この会話内容は⁈
「ん、んんっ! ほ、本題ッ! 本題に入ろう!」
「入れる?」
ルナはニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべ、僕の顔を覗き込む。
「違ッ! さ、さっきの話の続きに決まってるだろうッ!」
僕は自身の体温が急激に上昇していくのを感じながら、さっさと本題の【ルナコロニープロジェクト】の話題を振り直す。
「分かってるよ。ルナが逆に気を使って、本題に入らないようにしてくれてること……」
「……さすがルシル様、IQ200越えの天才児。【AI・T・M・P技術】の技術の結晶である、この私をもってしても、出し抜けませんでしたか……」
やっぱそうか。本当に人間みたいで、凄いよ【AI・T・M・P技術】。超感心する。
僕はルナの気遣いに心をうたれ、思わず彼女の心を現すような可憐な銀髪をそっと優しく撫でる。
「……あ、その」
「うん」
観念したのか、ルナは顔を赤らめながら、ポツリポツリと語りだした。
「……計画に使う財源が好ましくないのです」
「てことは収入より、支出多いってこと?」
「はい」
ええっと、【ルナコロニープロジェクト】の進捗と目的は確か……。
僕は、【ルナコロニープロジェクト】を整理するために、しばし思考を巡らせることにした。
いかがだったでしょうか?
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