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【完結】天才魔術師団長は天才魔女姫を守れない  作者: かんあずき
第三章

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99 居場所を探す魔女姫

私は片付けだけはやらせてもらえたことに、充実感を感じていたが、同時に強引に、若手騎士の仕事を奪ったことにも不安を感じていた。

いい人たちだったけど...帰って私のせいで怒られていなければいいんだけど。


新人騎士たちは、第一から第五騎士団まで各団から一人づつ選出されて片付けをしていたことを私は知らない。

魔女姫はどうだった?という各団の先輩騎士たちに、姫様はすごい魔法を使い、優しい、可愛いとほめられて伝わっていることなど思いもしない。


必死で顔は笑顔を作りつつ、胸の中では不安がぐるぐる巻き、やがて心が暴風雨になっていく。


「魔術師団は...相変わらず視線は冷たいわね」


こちらが目線を合わせて挨拶しようとすると、わざと険しい顔になり、顔を背ける。


流石に空気が読めない私にも、好かれてないことはわかる。

これは、ルシアンの妻として最低の評価をもらっているわ。

うーん、今の段階ですでにルシアンの足を引っ張ってる。


ルシアンの団長室は3階にあるが、それが使い魔の体を借りて登った時に比べ長く感じる。

人とすれ違えばすれ違うほど息が苦しくなるような視線に、泣きそうになる。


「ああ、姫様!終わられましたか?」


団長室に入ると、その声と痛い視線が終わったことにホッと息をついた、残念ながら、ルシアンはすでにお父様に呼び出されていて留守だった。

代わりにミハエルさんが、事務作業を行なっている。

少し手を止めて、微笑んでくれる姿に、無理をさせていると申し訳なくなりながらもホッとした。


「終わりました。他に何か仕事はないでしょうか?」

「そうですね。団長が姫様のことで頭がいっぱいなようなので、ここにいてもらっていいですか?そうだ!代筆の仕事をお願いしましょうか」

「だ...代筆...ですか?いえ、やらせていただくのですが、字はお兄様たちより汚いもので」


修行中の五年間、そして森にいる時は淑女教育を受けていない。これが地味に効いている。

リチャードのような達筆さも、クリスのように文字に美しさもない。他の貴族の方が明らかに綺麗な文字を書く。


だが代筆の内容はルシアンの元に届いた結婚のお祝いの品々のお礼のようだ。

王によって結婚印を入れた後は、公報でルシアンと私の結婚は市井まで伝えたはずなので、それを知った貴族たちや関係者が急いで贈ってきたのだろう。


「これは、私がやらなければならない仕事ですね。」


ルシアンの仕事を増やすところだった。

多分言わずに代わりにしようとしてくれたんだろう。

もしかしたら、今もその話をするために留守にしているのかもしれない。

お礼は早い方がいいし、仕事ではなく私用だから家に帰ってから書こう。


いただいた品々をリストに作り、その内容といただいた先に間違いがないことを二重チェックして、物とリストは空間バッグに片付ける。


「えっ!!!!!あ、あの!えっ?その亜空間はなんですか?」


とミハエルが腰を抜かしそうに驚いている。

今日は何人の腰を抜かさせたのだろう。説明して出せばよかったかな?

空間バッグについて説明する。

「物は腐らないし、重くないので便利なんです」

「それは..そうでしょうね」

と絶句されてしまった。

これもあまり人前では見せない方が良さそうだ。



だが、

「中が気になるのですが、浮いてるんですか?」


今までと違い、ミハエルさんは少し興味深そう。

ここは距離を縮めるチャンスか!!

少しミハエルにもバッグの中身を見せてあげる。


「いいな!これだったら、いろんな採取したものや素材が中に入れられますね。倉庫が中にある感じなんですね」

「そうですね。でも、父は頑張ったけど嘔吐袋サイズしか作れなかったって先日拗ねてました。魔力とサイズは別物みたいです」

私が笑って答えると、なぜかミハエルは少し手を止めて私の顔を見つめる。そして、顔が赤くなり俯く。

何か今の内容はおかしかったかしら?

でも、みんなのように嫌っている反応ではなさそうなのでほっとした。


さて、お礼に書くのに、王家の紋章が入ったものがいいわよね


辺境伯の家に嫁いだとはいえ、身分が王家の方が上になる。当然、お礼に入る紋章は王家で、礼状も王家の姫からのお礼になる。


「猫ちゃんも...ルシアンについていったのね。」


キョロキョロするがいない。

ミハエルさんがいるからどっちみちお話はできないんだけど。

私は風の精霊に頼み、お礼状の様式やその紋章の入ったレターセットをお父様から借りてルシアンに預けてもらうように伝言する。

また、お礼の品については、母に一任した。

そうして、お礼以外に仕事で必要な代筆を行いながら、ルシアンの帰りを待つのだった。


◆◆◆


その頃ルシアンは、王に呼び出されていた。

「第二王妃の実家には、セレスティアの蒸発の件を伝え、半年を待ってこちら側の結婚誓約印を解除させてもらった。

クリスの廃嫡の件も、白い結婚であったことと、方々でやらかした罪の賠償を王家が行うことで理解をもらった」

「だが、クリス王子は牢に入れていたクラリスと共に失踪中だ。いつラベンダーに危害を加えてくるか不安でたまらない。かといって、ラベンダーをずっと家に閉じ込められないし」


王であり、義父となったアレクは「そうだな」と頷いていた。


「クリスの性格を考えると、数日したら必ずどこかで金銭トラブルを起こすと思う。セレスティアの実家はかなり裕福だったからセレスティアにもクリスにもお金を握らせているようだった。私もセレスティアの依頼からのものはかなり融通をきかしてきた。

クリスが王となることもない今、あの家もクリスとセレスティアへの支援はやめるだろう。あいつは必ず泣き言を言ってくるはずだ」

「もし泣き言を言ってきて、今後どうするおつもりですか?廃嫡するとはいえ、息子のままなんですよね」


ルシアンの心配はそこだ。

すでに一度ラベンダーは襲われかけている。

そこの根底には、クリスの廃嫡騒動があって、姫として必要とされ、自分が嫌っている指導係との結婚のために森から呼び戻されたラベンダーへの妬みがある。

そして同様に、ラベンダーに一方的な嫉妬心を持ったクラリスと共にいなくなっているのだ。


「クリスは私が父ではないことを早いうちから知っていたと話していた。結婚する前に、自分は腹の中にいたことになるし、こんなにみんなに平等をうたっている私が、仮面夫婦だったセレスティアと婚前に関係をもつのはおかしいと感じていたようだ。

今後はセレスティアの実家がクリスを商人として育ててみたいといっている。あれは顔がいいし、遊び歩いている反面いろんな貴族のツテもある。危ない橋をたくさん渡ってくれたが、他国との交流もある。ただ権力を持たせてはならないというだけだ」


本人次第だが、商人として生きていくなら貴族の奥方たちや他国の娼館ルートも含めていろんなところで商売が可能というわけか。クリスがどうするかだが、それしか道がないのだったら受け入れるのかもしれない。


だが、クラリスは?

まだクリスと一緒に行動しているのだとしたら商人で納得するやつじゃないぞ。


ルシアンの不安は膨らむ一方だった







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