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【完結】天才魔術師団長は天才魔女姫を守れない  作者: かんあずき
第二章

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86 白い結婚の裏側で、私たちだけが本物だった

「そこまでが私が知っている話よね。」

ヴァネッサは俺の服を握りしめた。

「そうだ。第一王妃とは、結婚前には、顔合わせが何度かあった。まずエリザベートは気乗りしない表情だった。そりゃそうだ。彼女にはニコラスという心に決めた男性がいた」

「ニコラス...って!あのニコラス?」


ヴァネッサが顔を上げた瞬間、再びぐったりする。


「ほら、横になったまま話すから...学びがないやつだな」

俺は、ヴァネッサを横になれるようにそっと下ろすと、ヴァネッサは「昔みたい」と微笑んだ。

俺も、こうやって彼女を支えたのは久しぶりで、そうだなと頷く。


「だが、俺は心に決めた女性、ヴァネッサを妻にしたいと告げた。相手は、魔女であり、女の子しか産めないことも告げた。だから、俺の後継を産んでくれたら、ニコラスと関係も続けていいし、ニコラスもうちの使用人として雇うと話したんだ。」

「なんでニコラスを宰相にしたのよ?」

「頭は切れたし、王族の部屋に出入りしてもおかしいと思われないポジションにつけたかった。エリザベートを裏切る男ではなかったし、秘密を共有するならそれなりの地位につけたほうがいい」


ヴァネッサが初めて心配そうな顔を見せた。


「なんで言わなかったの?」

「言えないことが、第二王妃のところで起きてしまったからだ」


俺はため息をつく。


「エリザベートは渋々ながらも結婚に同意してくれた。

そして私は公爵家に相談をして、父に退位を迫ることにした。公爵家も娘婿の俺が王になってくれるほうがいいからな。だから貴族の根回しをお願いしたんだ。

そして、エリザベートと婚姻の日を迎えることなった」


「それは...私も覚えているわ」


ヴァネッサは俺の腰に手を回しぎゅっとしがみついてきた。

ここしばらくお互いは険悪な関係だったから、俺は心が溶けるようなホッとする感覚になる。

そっとヴァネッサの額にキスを落とし、腰に回した手を握った。


◇◇◇


毎日、森の入り口で今後の計画を伝え続け、ダメ元で森に入る。

木々が身体中を襲い、皮膚はカッターで切り刻まれるように出血する。


ヴァネッサが

「森に認められなくてもいいよ。怪我しないでよ」

そう言いながらヒールをかける。

不思議と森のつけた傷はヴァネッサ以外は治せなかった。


「当然だよな。君と結婚したいので、他の人たちと結婚しますっていう報告なんだから」

「あの...無理して私と結婚しなくてもいいのよ。よかったらあなたの子種をもらえないかしら?出来れば誰も傷つけたくないから未婚のあなたがいい。思い出にするわ。」

「え??」


ヴァネッサは、毎日俺と森の入り口で話をしたが、今までどんなに好きだと毎日言っても、結婚の計画を告げても頷いて聞くだけだった。

それなのに、突然結婚前日に自分に子種をと言い出したのだ。


「もちろん、王家とか、誰の子供かははわからないようにする。あなたが私を思ってくれたのは、毎日森にこんなに傷つけられても通い続けてくれて、話をしてくれて、ちゃんと私に伝わったわ。そして、他の妻を持つことを申し訳なく思っていることもね。私も考え方を変えたの。初めては誰でもじゃなくて、きちんと私を思ってくれるあなたがいいの」


いつになく弱々しくヴァネッサが話す。

なんか様子がおかしい。


「そんなの...初回で子供が出来なかったら、次は他の人ってことだろ?俺は嫌だ。それに...俺はヴァネッサとの子供に愛情をたっぷりかけてやりたい。待ってて欲しい。結婚まであと少しだ」

「違うの...わたしが、嫌なの。明日結婚したら結婚相手の人に子種を渡すのよね。それは、アレクの初めてよね。だって結婚相手以外とはしないっていうんだから」

「あ、ああ」

「あなたが、私が他の人の子種をもらうのは嫌だっていうように、私も嫌なの。アレクの初めては私がいい。」

「だ、ダメだ。もし、結婚前に子供ができたらその子は俺の子供とは認めてもらえない」

「その時には...結婚せずここでこっそり育てるわ。お願い、政略結婚で愛がない結婚なら、結婚前に私を選んで」


俺は頭が真っ白になった。

エリザベートにはすでに恋人がいる。

そしてそれを認めることは伝えてある。

婚前に俺も好きな人と添い遂げても、それは罪になるだろうか?


しかも、今までは友達扱いしかしてこなかったヴァネッサから初めて、自分を求められたら....


ふと見るとかつてヴァネッサの使い魔が書いた森に入るための紹介状が手元に浮かび上がる。

彼女を守れる男と認めてくれるということだろうか。


俺は、ヴァネッサを抱きしめた。

俺も初めては好きな人とがいい。


紹介状を手にして森に自分を入れて欲しいと頼むと、森の木々が広がり、初めて自分に対して入り口が開かれたのだった





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