83 魔女はキスを友情と言い、王太子は恋だと信じている
ヴァネッサは、どんな気持ちで俺を抱きしめてきたのか?キスしてきたのか?
眉を顰めながらマジマジとした目で見つめられたので、ここは怯んではならない気がして、わくわくした目でマジマジと見つめ返す
「え....わかんないわ??」
おもってもない解答にガクッと転びそうになる。
「え??わからないって?お前、キスだぞ!ハグだぞ!」
「そうね、それはキスで抱きしめるはハグよ。なんだろう?理由なんて考えてないわ。考えなきゃダメなの?」
ヴァネッサは、小首を傾げて再び俺をマジマジと見つめる。
くそっ!可愛いと思うのは俺だけか?
ヴァネッサが何にも思ってないのが嫌ってほど伝わるから悔しすぎる。
「ダメだろう!絶対ダメだろう。俺は君が好きで抱きしめ返し、キスをする。ここまでは正解だけど、その次のきちんと交際ができない。ここが、卑怯な部分だと自覚している」
なんか俺の方が誠実みたいじゃないか?少なくとも俺から手は出してない。だが、好きだからありがたく貰えるものはいただく。更に、貰ったんだから責任取れといわれても、取れないとちゃんと伝えておく。
俺、最強やんけ!!
「.....よくわからないわ。お母さんから教わったの。魔女は、誰かと添い遂げようとしてはダメだって。多分、アレクが言った理由と一緒ね。この国には平民の人は魔力は高くないから、なかなか子種をもらうのは難しい。相手は貴族になるって。でも、貴族のルールで魔女とは結婚できないから添い遂げられない。だから、思いを残さず、次の国に行けって」
「この国には魔女は君だけ?」
「そうね、修行中誰とも会わなかったし、この国に魔女がいるって聞かないわ」
「俺は将来王になるんだけど、王も一人だけなんだ、この国で。それで王が一人だけしかいないから、俺は唯一奥さんは何人でも持つことができる。」
「私も何人でも子種をもらう予定だから、私たち似てるわね?」
俺は君が好きなんだが、もしその複数の妻の一人でも許されるなら...そう言うつもりで言ったんだが、彼女の返答だと全く脈はないよといわれているのと同意な気がする。
だが、むしろ、そこまで割り切ってくれるならいっそ、添い遂げられるんじゃないだろうか?
「君を一番目の奥さんにはできない。俺はこれから両親と弟を排除しないといけない。それには味方がいる。そのために、結婚をしないといけない。
だけど、何番目かの奥さんにはできると思う。利点は...俺と君がもし思いを通じ合えるなら、唯一添い遂げられる仲になれるんじゃないだろうか?
色んな人の子種をもらわず、この国にじっくり腰を据えて、一緒に子育てできると思う。どうかな?俺が王になるまでに、俺との結婚、俺からの子種を考えてもらえないだろうか」
「アレクの?うーん、アレクだけはないと思ってるんだけどな」
「な、なんで?キスしたよな?ハグしたよな?この後は子種じゃないか?順番的に!!」
俺は慌てて詰め寄る。
しかし、ヴァネッサは、えーっ!といいながら嫌そうな顔をする。
いや、おかしいだろう?
何度もいうが、抱きついたのもキスしてきたのもそっちだ!
「なんで言えばいいんだろう?アレクは私の初めての友達だわ。ほかの子種をもらう男と人たちと一緒じゃいけないと思うの」
「え?つまり?」
「だから、特別なのよ。子種をもらう人とは手を切らないといけないでしょ。アレクは友達なんだから、手を切ったら私、友達がいなくなるわ。だからダメよ。友達はハグはするし、キスも国によってはするって聞いたわ」
特別なのよって言われても、俺からすれば子種をもらえる方が特別に聞こえる。
いや、俺以外もみんなそう思うはずだ。
「あのさ、俺友達だけど好きなんだよ。別にヴァネッサが俺を好きにならなくても友情は永遠だ。だけど、普通は好きなやつから子種はもらうんだ。だから、ヴァネッサが他の人とそういう行為をするのはすごく嫌なんだ。
ヴァネッサが俺のことを恋愛対象にみてなくて、誰とでもいいんなら、俺だけにしないか?」
「えーっ!でも、アレクは色んな人を奥さんにするんでしょ?それはずるいわ!」
ヴァネッサは、不公平だと怒り出す。
そう言われると身も蓋もない。君はいろんな子種をもらうな、俺は子種をいろんなところに渡すっていってるんだもんな。だが、色んな子種をもらいたいのか??
「俺は王の後継は男の子じゃないといけないから、他の人と子供を作らなければならない。ずるいって言われたら、ずるいさ。君にはしてほしくないことを俺はするって言ってるんだから。でも、それを許してもらえるなら考えてくれないか?君の最初の相手は俺がいい。だけど、俺は立場的に、結婚してない相手に子種は渡せない」
ヴァネッサは、真面目な顔をして悩み始めた。
「考えていいのかしら?子種相手は名前も知らずに付き合って、顔も覚えない間に去るのが理想なの。
アレクは名前も顔も知ってるし、結婚ってことは添い遂げるから母の言いつけも破ることになるわ」
その時ピョンと使い魔が飛び跳ねて地面に降りた。
今まであれだけ話していたのに、俺たちの話を聞いて一切口を挟まなかった。
こいつはどう思っただろう?
最低な提案をしていると思っただろうか?
「ヴァネッサ、森に託してみるのもアリよ。この森は、魔女のためにある森なの。魔女を守るものを守るのもその一部よ。あなたはその条件でこの娘を守り切れるのかしら?守り切れると思ったら迎えにきたら森の中まで迎えにきたらいいわ。でも、森が守れる男じゃないと思ったらまず無理ね。
とりあえず、その時までは子種をこの子が他の人にもらわないように見張ってあげる」
ふふっと使い魔は微笑むように挑戦的な目で俺をみる。
「そうだわ!守り切れる男だと判断した時には、この森に居させてもらえるように紹介状を書いてあげるわ」
使い魔は見えないところからクルクルと回る紙に、えいっと肉球を押した。
俺はその紹介状を受け取るがそのまま消えてしまう。
「その紹介状が必要になる時には現れるから」
そして、思いっきり背伸びをしてニャーっとないた、




